人間の目では見えないだけで、日本における年間の無駄になっている熱エネルギーは、原子力発電所数十基分に相当します。熱電発電とはその無駄になっている熱エネルギーを電気に変換する再生可能エネルギーのことです。聞きなれない発電ですが、太陽電池とよく似た性質を持ち、半導体を介して発電します。太陽光発電が光を電気に変換するのに対して熱電変換は熱を電気に変換します。どのような見た目をしているかというと、図1のように薄い本体の中にびっしり半導体の柱が並んだような構造をしています。
仕組みはいたってシンプルで、ゼーベック効果という物理現象を利用しています(図2)。半導体の一方を加熱、もう一方を冷却することで内部に発生した電流の素であるキャリアが温かい方から冷たい方に移動することで電気が発生します。よって、より詳しく考えると温度差を電気に変換していることになります。ここでは、体温から電気を作り、モーターを動かす実験を紹介します。
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保冷剤あり、なしでどのような変化が得られただろうか。
保冷剤がない場合はある一定時間経過すると、電圧が下がっていくことが確認できます。保冷剤があった場合はより大きな電圧を示し、時間経過しても高い電圧を保持し続けています。
大きな電圧の理由は発電原理の通りで、温度差が大きいほど発電するため、体温-保冷剤の温度差が体温-空気の温度差より大きくなるためです。
時間経過に対し電圧を保持し続けた理由は冷却装置がついていたためです。熱電発電は温度差で発電するため、表と裏が同じ温度になっていくと発電しなくなります。保冷剤があることによって時間経過しても温度差が失われないためです。
並列接続と直列接続でどのような違いがあるだろうか。
並列接続では熱電素子1つの場合とほとんど変わらなかった。直列接続では電圧が2倍ほどになった。並列接続では電圧が一定になるため、電圧には影響がない。直列接続では電圧が足されるため、電圧が2倍になる。
今回は熱電発電について学習し、熱源を体温、冷却を保冷材にするとモーターを回すほどの電気を得ることが確認できました。熱電素子を2つ直列につないだ場合は乾電池1個分の電圧に相当します。他にも熱源を体温よりも高い温度のお湯などで試してみればより大きな電気を取り出せるかもしれません。本発電は、如何にして大きな温度差を作り出し、維持する事がポイントとなります。冷却方法なども工夫してみてください。
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