植物の何がスゴイ?と聞かれてどのように答えますか。光合成が重要なキーワードです。ここでは、光合成を目で見る「クロロフィル蛍光計測による植物診断技術」についてご紹介します。
植物の何がスゴイ?と聞かれてどのように答えますか。
人間のような動物と比較してみてください。動物は、文字通り「動く物」なので、"動く"ということが大きな特徴です(もちろんほとんど動かない動物もいますが・・)。動物は生きていくために、一生涯食べ物を探して動き回らないといけないのです。これに対して、植物は"動く必要が無い"といえます。①の答え"植物のスゴイところ"は、「植物は動かなくていい!」となります。
このスゴイところを支えるのが「光合成」です。「光合成」では、葉緑素で光を吸収し、このエネルギーを使って空気中の二酸化炭素から糖(≒植物の"ごはん")を作り出します。だから、植物は動かなくていいのです。
「光合成」の最初のステップである"光の吸収"は、緑色の色素である葉緑素が行います。葉緑素は、専門用語では"クロロフィル"といいます。クロロフィルは、吸収した光エネルギーを光合成に利用しますが、光合成に使い切れずに余ったエネルギーは、赤色の光として捨てられます。つまり、植物葉は、ほんのり赤く光っているのです。この赤色の光を"クロロフィル蛍光"とよび、クロロフィル蛍光を観察することで光合成機能の有無を知ることができます。
クロロフィル蛍光を正確に計測することで、植物体内の光合成反応に関する情報を取得することができます。たとえば、一定の強さの光を植物に照射した場合、光合成の調子が良いと、吸収した光エネルギーの大部分が光合成に利用されますので、クロロフィル蛍光として捨てられるエネルギーは少なくなります(クロロフィル蛍光が弱い)。一方で、光合成の調子が悪い場合には、吸収した光エネルギーが光合成に使われずに大量に余りますので、クロロフィル蛍光が強くなるということになります。この関係を利用することで、クロロフィル蛍光計測による植物生育診断ロボットが開発されています。
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