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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

水中シャボン玉を作ろう

2024年3月22日
豊橋技術科学大学 工学部
応用化学・生命工学系 手老 龍吾

はじめに

 洗剤を水に混ぜてシャボン玉を作って遊んだ経験は誰にでもあると思います。空気中で作るいつものシャボン玉とは違う、「水中シャボン玉」を作ってみましょう。「泡」とは違いますよ。

用意するもの

  1. ガラス製の容器(コップ、ボウル、水槽など)
    ・プラスチック製の容器ではうまく作れない場合があります。
    ・深さが10cm以上ある方が作りやすいです。
  2. 台所用洗剤(食器洗浄機用ではないもの)
  3. ストロー(直径5mm程度のやや太めのもの)

実験手順

  1. ガラス容器を洗剤できれいに洗います。
  2. ガラス容器に、深さ10cm以上水を入れます。水道水でよいです。
  3. 食器用洗剤を加えて、泡立たないよう静かに混ぜます。洗剤の量は、界面活性剤38%の製品で水1Lに対して8~10g程度です。界面活性剤の濃度は製品ごとに異なりますので、洗剤のボトル裏面のラベルで成分を確認して、加える量を加減してください。
    ラベル表記例:品名 台所用合成洗剤/用途 野菜・食器.../成分 界面活性剤(38%...)
  4. ストローの上端を、親指でふさいだり開けたりできるように持ちます。
  5. ストローの上端を開けた状態で、ストローを1~2cmの深さまで水に入れます。ストローの下端を水面に沈めた状態で、上端を親指でふさぎ、そのまま水面上1cm程度まで持ち上げます。
  6. 親指を離して、ストロー内に溜まった水を水中に落とせば、水中シャボン玉のできあがり。水の中に、空気でくるまれた水玉が浮いています。
    「泡」は水の中の空気の塊なので水面より上に浮かび上がりますが、水中シャボン玉は水面より上がることはありません。
  7. 食紅を加えた洗剤溶液をストローに取って落とすと、色つきの水中シャボン玉が作れます。水中シャボンが割れるまでは、内側の色つきの水玉が、外側の透明な水と混ざることはありません。

作り方のコツ

 手順5でストローを沈める深さ=ストローに取る水の量、手順6で水を落とすときの高さ・ストローの角度をかえて、何度も試してみましょう。

  • 手順6で、ストローを垂直から30°程度斜めに傾ける。
  • 水面に泡が浮いていないところに落とす。
  • ストローから落とした水玉が水面上に浮く場合。
    →ストローに取る水の量が少ない。ストローをより深く入れて、取る水の量を増やす。
  • ストローから細長く水が注がれるのが見える。
    →水の量が多い。ストローに取る水の量を増やす。
  • ストローの中に水の膜ができた場合は、水で流して取り除く。

解説

 空気中に作る通常のシャボン玉は、空気中にできた薄い水の膜です。このとき、洗剤の中の「界面活性剤」の分子が、水の膜の表面を覆っています。洗剤が油よごれを水に溶かし出すのも、この「界面活性剤」の働きによるものです。何も入れていない水を空気中にとばしても、球状の水滴になってしまって薄い膜にはなりませんが、界面活性剤が水面を覆うことで水の表面張力を弱めて、薄く広がった水の膜が安定に存在できるようになっています。

 今回の実験で作った「水中シャボン玉」は、シャボン玉の水と空気を入れ換えたもので、水中にできた薄い空気の膜です。この空気の膜と、内側・外側の水との界面は、それぞれが界面活性剤の分子で覆われています。内側・外側の2層の界面活性剤分子と、これらにはさまれた空気の膜とによって、水中シャボン玉の内側にある水玉は、周りの水からは分離された状態になっています。

  • ※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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