植物や微生物は多種多様な天然物生理活性物質を生産します。今回は食品に含まれる天然色素に注目し、ペーパークロマトグラフィーを使って調べてみましょう。
ペーパークロマトグラフィーとは、紙と液体(溶媒)を使って物質を分離する方法です。紙の端を溶媒に浸すと、毛細管現象によって溶媒が上昇していきます。その際、物質が溶媒に溶け、溶媒と一緒に上昇していきます。物質の移動距離(移動度)は、それぞれの物質の溶媒に対する親和性の違いで変わってきます。今回の例では、パプリカ色素・抹茶・カレー粉は、エタノール溶媒では溶媒上端の位置まで移動しています。一方、エタノール・水の2:1混合液の場合は、パプリカ色素は最初の位置から移動していません。このように溶媒の種類によって劇的に移動距離が変わりますが、これには物質の親油性・親水性が関わっています。同じ物質が存在していたら、あらゆる溶媒で同じ位置まで移動するので、物質の存在の有無を確認することが出来ます。
以下に微生物(放線菌)が生産する色素もペーパークロマトグラフィーをしてみました(寒天培地に生育した放線菌のうち、左側が青色色素を生産する放線菌です)。同じような赤色色素でも、違う位置に物質が移動しています。このクロマトグラフィーの原理を利用して、微生物や植物が生産する色素や抗生物質を分離・精製することが出来ます。
皆さんも身の回りの食品に見られる色んな色素を調べてみてください。
掲載大学 学部 |
広島大学 工学部 | 広島大学 工学部のページへ>> |
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |