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なんでも探検隊

水中微量元素の分離剤:都合のよい選択性を付与するには?

2025年8月22日
富山大学 工学部 応用化学コース
図1 分析機器の例:誘導結合プラズマ発光分光分析装置(富山大学機器分析施設)図1 分析機器の例:誘導結合プラズマ発光分光分析装置(富山大学機器分析施設)

 河川水や海水など、環境水には微量元素が含まれています。それらの濃度を把握することは、水環境を診断する上で重要です。微量元素濃度の測定には様々な分析機器(図1)が使用されますが、共存する主要元素が測定を妨害したり、微量であるため機器の感度が不足したり、といった問題が生じる場合があります。そのため、正しい濃度を求めることは想像する以上に難しいです。これら問題の解決策の一つとして、測定前に微量元素を他成分から分離し、濃縮することが挙げられます。

 これまで様々な分離剤が開発、市販されてきていますが、妨害する主要元素などを捕まえず、濃度を知りたい微量元素を一斉に捕まえる、という「都合のよい選択性」を持つ分離剤はほとんどありませんでした。そこで私たちの研究室では、この「都合のよい選択性」を持つ分離剤の研究開発を進めることにしました。

図2 部分カルボキシメチル化ポリエチレンイミンを固定化した分離剤(キレート樹脂)図2 部分カルボキシメチル化ポリエチレンイミンを固定化した分離剤(キレート樹脂)

 試行錯誤の結果 、分離剤の中の微量元素を捕まえる部位(捕捉基)に別の機能を持つ二つの部分(例えば、捕まえる部分と反発する部分)を作り、それぞれの部分の割合を変化させることで、選択性を制御できることを見出しました。得られた知見をもとに、部分カルボキシメチル化ポリエチレンイミンという部位を固定化した分離剤を開発しました(図2)。

 この分離剤を海水中の微量元素の分離濃縮に用いると、微量元素を確実に捕まえつつ、大量に含まれるナトリウムイオン、カルシウムイオンなどをほぼ100%除去できます。この分離剤は現在市販されており、この分離剤を使用した研究成果が国内外から報告されています。

 現在、私たちの研究室では、同等の能力を持つ、より安価な廃水処理用の分離剤の開発に着手しています。また、より速く微量元素を捕まえることのできる分離剤の研究開発も行っています。これらの成果を社会実装することも目指しています。

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