みなさんが持っている情報工学のイメージはコンピュータやプログラミングでしょう。これらの技術はとてもフレキシブルであり、いろいろな分野に応用することができます。ここでは機械分野と情報分野の融合例として、材料表面内部をサブミクロンスケールで「見える化」するi-MSE法と、流体を立体音響で「聴こえる化」する可聴化技術をご紹介します。
ドリルなどの機械工具は、耐摩耗性を高めて寿命を延ばすために、基材表面をチタンの窒化物(TiN)などでコーティングするのが一般的です。コーティングでできた層を薄膜(はくまく)と呼びます。工具の寿命は薄膜の強さに依存します。薄膜の厚さは数ミクロン(1ミクロンは0.001ミリ)程度ですので、これほど薄いものの強さを評価するのは大変難しいとされてきました。そこで、純水と微小粒子を材料表面に高速投射し発生する微細なエロ-ジョン摩耗を観察するMSE試験(Micro Slurry-jet Erosion)とコンピュータグラフィクス技術を融合したが開発されました。i-MSEは材料表面内部を機械的な強さで描いた断面図を作成する手法であり、薄膜の強さの分布、薄膜と基材間の密着の度合いや製造欠陥の有無を可視化できる福井大学工学部独自の新技術です。
気体や液体など、外力に対して容易に形が変わるものを「流体」と呼びます。これを扱う流体力学は機械分野ですが、計算により得られる流体の時空間的変化は古くからコンピュータグラフィクス技術を応用した「可視化」が行われてきました。しかしながら人間の五感は視覚だけではありません。ここでは流体を耳で聴く可聴化技術についてご紹介します。
は流体シミュレーションの2次元速度分布を、リアルタイムに、画像と音声で表現します。仮想的なマイクロホンを2次元空間上の任意の位置に設定し、その位置における流速を「音」で聴くことができます。加えて、強い渦の渦中心に音源を設定し音像定位することで、流速の変化を立体音響として体感することができます。
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