私は情報学部情報科学科で放射線ソフト情報学の研究に携わっています。情報科学科で放射線?という疑問を抱く方がほとんどかと思います。私は静岡大学の附置研究所、電子工学研究所にも所属している、という説明で少しは疑問が解かれるかもしれません。この電子工学研究所は高柳健次郎博士のテレビの発明の業績をもとにうまれた画像工学の研究所で現在でもイメージングデバイスの分野で活躍しているいわゆるハードウェア系の研究所です。一方、情報科学科はソフトウェア中心に研究教育を行っています。
イメージングはスマホやテレビ等でおなじみの今の世の中に切っても切れない、老若男女、プロフェッショナルだけでなく誰でも使う技術です。目という素晴らしいリファレンスを目指したイメージセンサは半導体技術の結晶です。さらに、この目を越えた放射線などの目に見えない「不可視光」という世界はCTスキャナなどで実用化されていますが、まだまだこれから大きく広がる世界です。不可視、すなわち見えない、ということは我々が未だ認識していない情報がたくさん含まれていることを意味します。しかし、見えない、のでそれをただ可視化しただけではその膨大かつ有益な情報のほんの一部を使っているに過ぎません。如何にして人に役立つ情報を取り出すか、もちろんハードウェアも重要ですが一方で情報を取り出し人に渡すソフトウェアの研究も欠かせません。素材からデバイス、信号処理から測定系、測定ソフトウェアから解析アプリまでの研究でようやく達成できるその成果を情報科学の視点から一緒に探求してみませんか。多次元になり簡単には人が理解できない情報も、深層学習やAIでさらに活用の可能性が見つかりつつあります。人間の理解のためにあえて一部の情報だけを取り出すように作ってきたデバイスも、今では正確な物理情報を取得できるデバイスがきちんとできれば情報を活用できる時代になってきています。これからの時代を切り開く皆さん、狭い分野だけに閉じ込まるのではなく、深い専門と幅広い視野で新しいこの世界を切り開いていきましょう。
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