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次世代の空港の運用方法を考え、最適化するための技術を開発

2021年11月19日
茨城大学 工学部
工学部都市システム工学科 交通・地域計画研究室

 道路や鉄道、空港や港湾といった土木施設は、国内や国際間の人々の移動やモノの輸送を支える重要な交通インフラです。特に島国の日本にとって、海外との玄関口となる空港と港湾の機能強化は産業の国際競争力を確保するために不可欠です。茨城大学工学部の都市システム工学科の交通・地域計画研究室では、特に空港/空域のオペレーション、つまり航空管制の視点も考慮した空港の運用や整備に関して研究を行う全国でも珍しい研究室です。羽田空港や成田空港といった首都圏の空港、また地方においても新千歳空港や福岡空港、那覇空港などは非常に混雑する空港で、離着陸する航空機の滑走路における処理容量がボトルネックとなることがしばしばです。しかし、単に滑走路を新たに建設すれば容量が増えるというわけではありません。もちろん滑走路を建設すれば増える可能性はありますが、周辺地域への騒音影響や地上の障害物などの影響などにより、空港周辺での飛行経路が自由に設定できないことも多く、そのような空域や環境の条件を同時に考慮しなければ容量があまり増えないこともあります。逆に言うと、同じ滑走路の本数でも、飛行経路の設定の工夫や航空管制の運用方法を工夫することで容量を増やしたり、遅延を減らしたりできます。そこで、茨城大学では、世界でも有数の混雑空港である羽田空港を主な対象として、空域での航空管制運用と空港の地上面の運用を統合したシミュレーションや予測・評価技術を開発し、実際の空港の運用評価や容量拡大の方法の提案を行っています。例えば、各航空機の遅延予測技術を活用し、離陸機と着陸機の最適な順序付けと間隔設定を行うことで、容量を拡大したり、遅延を軽減したりする方法を開発・提案しています。容量や遅延の評価だけではなく、地域への騒音影響や住民の意識調査の分析、広域での騒音分担のあり方などの環境面の政策提言も行っています。

 その他にも、全国の航空ネットワーク内で航空機の遅延が次々に波及し、蓄積してゆくメカニズムを統計的に解析するモデルを開発し、ネットワーク全体での波及遅延や遅延軽減策の評価を行っています。また、平常時の空港や航空機の運用のみならず、大規模な自然災害時には全国の空港がヘリコプターなどによる救援救助活動の一大拠点になるため、その際の救援救助活動を最適化するための特別な空港の運用や、被災地への航空機の最適な配分と飛行経路の設計を行うための戦略立案を行うための技術についても研究をしています。

図1:羽田空港の運用シミュレーションの一例図1:羽田空港の運用シミュレーションの一例
図2:日本全国の航空機の実際の飛行軌跡データの解析例図2:日本全国の航空機の実際の飛行軌跡データの解析例
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