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なんでも探検隊

人と地球に優しい生産システムを目指して

2020年4月3日
広島大学 工学部

 私たちの日々の生活は手で触ることのできる多くの製品、たとえばスマートフォンや自動車などで支えられています。また、オンラインショッピングや電車による移動のようなサービスも豊かな生活を過ごすうえでは不可欠になっています。多種多様な製品やサービスが、顧客の要求する品質で、必要な時に、適切な価格で販売・提供されるように、それぞれの組織が絶え間ない努力をしています。私たちはそのような取り組みを学術的視点から研究し、人と地球に優しい生産の仕組みの構築を目指しています。

 スマートフォンは中高生の皆さんも関心ある製品の1つでしょう。多くの電子部品で構成されていますが、それらは日本や韓国、米国など複数の国や地域のメーカーが生産しています。組み立ては、例えば台湾の企業が担い、完成品は全世界に送り出されます。原材料から部品や部分組立品を作り、それらを調達して完成品を作るまでのサプライチェーンは複雑化していますが、一つでも欠品すれば完成品はできません。これはスマートフォンに限った話ではありません。

 近年では、豪雨や地震といった自然災害、戦争や政治的混乱などの人的災害などがしばしば報道されています。代替品のない重要部品を製造している会社の工場が被災などで出荷停止になると、その工場の部品を必要とする下流側の工場が全て操業停止になってしまい、関連する企業のみならず社会的にも大きな損失となります。起こりうる供給混乱を洗い出し、それらにどのような対応策が考えられるのかを検討し、あらかじめ必要な準備をしておくことが重要です。たとえば、いざという時に部品供給をお願いする企業を決めておき、必要な情報を添えて契約しておく、という方法が考えられます。複数の製品に使用できるように部品の仕様を見直して複数の地理的に離れた工場で生産する仕組みを作ることも有益な場合があります。

 生産システム工学研究室では、上述したサプライチェーンに関わる設計やリスク管理も1つのテーマですが、顧客の使用済み製品を回収してそれらを新しい製品に生かすリサイクルシステムを含んだ循環型サプライチェーンの設計(図参照)、需要の変化に追随できる生産システムの運用方法、さらには、病院での待ち時間短縮法など幅広い問題領域を研究対象としています。新しい仕組みや工夫は、顧客には気づかれにくいものが多いのですが、その恩恵は多くの人にもたらされ、地球にも優しく、組織の競争力向上に貢献します。

図 循環型サプライチェーン図 循環型サプライチェーン
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