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凍らせて融かして分ける ~ガラス研磨材のリサイクル~

 
2014年9月17日
福島大学 共生システム理工学類

OA機器用のガラス部品を研磨する両面研磨機。写真提供:福島県須賀川市 (株)吉城光科学

OA機器用のガラス部品を研磨する両面研磨機

レンズ・ミラー・プリズムなど、高い精度と透明性が要求されるガラス部品類の研磨には、酸化セリウム系ガラス研磨材が使用されています。このガラス研磨材は、レアアース(希土類)鉱物を焼成することにより作られており、主成分は酸化セリウムや酸化ランタンです。レアアースは需要が増加する一方で産出国が限られているため、近年価格が高騰しています。ガラス研磨材は水で溶いて泥状にしたスラリーとして使用します。ガラスを研磨した後のスラリーは、凝集剤を加えるなどして廃棄されていました。

福島大学では福島県内の企業と連携して、使用済スラリーから有用な固形分を回収して再使用する研究を行っています。使用済スラリー中の固形分は0.1μm程度と微細なため、自然沈降によっては分離が困難です。研磨を行う事業所でリサイクルを行うためには、危険な薬品や高温高圧を必要とするような手法は望ましくありません。さまざまな分離手法を試行していたところ、使用済スラリーを凍らせて解凍するだけで、研磨材の超微粒子が塊となって沈降して、固形分が分離できることを発見しました。

ガラス研磨材スラリー分離の様子 A:使用済スラリー、B:凍結後、C:解凍後

ガラス研磨材スラリー分離の様子
A:使用済スラリー、B:凍結後、C:解凍後

冷凍庫があれば分離が実現するのです。どんな泥でも凍結解凍で分離できるわけではありません。研磨によってスラリーに含まれていくガラス由来の成分が、塊の形成に必要でした。塊の大きさを制御する方法も判り、リサイクルに適する大きさの塊を作り出すことも可能となってきています。回収した固形分が実用上十分な研磨能力を持っていることを、ガラス研磨事業所で確認しました。現在は、連続的にスラリーを凍らせて解凍して分離する手法に挑戦しています。

連続式凍結解凍分離装置の試験機

連続式凍結解凍分離装置の試験機

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