七宝焼きは伝統工芸の一つで、金、銀、銅などの金属の上に釉薬を焼き付けたものです。この「おもしろ科学実験」では、七宝焼きを作製する過程を通して、結晶とガラスの違い、金属とガラスの密着、発色の仕組みなどを学びながら、科学の楽しさを知ってもらいたいと思います。
難しい授業ではなく、実験を通して小中学生に対しては「理科離れ」の改善、高校生には、理科系学部の進学意識の高揚の助けになることを期待します。
釉薬を盛る準備
アルコールで銅板表面を拭いて炉焼板に載せます。
*釉薬を盛付けた後、銅板をくらに乗せるので、銅板に対して少し幅の狭い炉焼板を使用しています。
銅板の裏には熱処理後の変形を抑えるために、あらかじめガラスで裏引きしておきます。市販品もあります。
釉薬を盛りましょう
釉薬をホセ(竹べら)ですくって銅板に盛付けます。(塗るではなく、「盛る」という言葉を使います)
銅板の縁のぎりぎりまで釉薬をのせます。のせすぎると電気炉で融かしたときに、こぼれるので注意
【きれいに盛るコツ】
少量の釉薬をすくい取って銅板の上に置きます。盛った釉薬の中心付近をホセで軽くたたいて、釉薬を広げます。
釉薬できれいな絵も描けます
異なる色の釉薬を使用する時は、新しいホセを使うか、洗ってから使います。
*ホセを水の中に入れて少し振ると、釉薬が沈み、きれいになります。
ミルフィオリで七宝焼きをデザイン
ピンセットでミルフィオリを乗せます。
あまり端の方に置くと、溶けた時に流れ落ちることがあります。ミルフィオリは融けると大きくなります。
電気炉に入れる準備
釉薬・ミルフィオリでの盛り付けが終わったら、銅板をくらに乗せます。
このとき、くらに釉薬やミルフィオリが付かないようにします。
しばらく放置して、釉薬表面を少し乾燥させます。
電気炉に入れてみよう
くらに乗せたまま銅板を電気炉の中に入れ、800℃で約2分焼きます。
釉薬によっては焼成前後で色味が変わって見えることがあります。
七宝焼きの完成
釉薬の表面が滑らかに融けていたら、くらごと電気炉から取り出し、ステンレスパッドの上に置きます。
しばらくしてから、銅板をくらから外してステンレス金網の上に置いて冷まします。
ガラスは見た目では温度が分からないので、火傷に気をつけます。
仕上げ
充分に冷めたら、七宝焼きの完成です。
流れた釉薬などが銅板からはみ出していれば、やすりで削り落とします。
出来上がった七宝焼きはオリジナルペンダントやキーホルダーとして楽しむこともできます。
掲載大学 学部 |
京都工芸繊維大学 工芸科学部 | 京都工芸繊維大学 工芸科学部のページへ>> |
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |