2024年12月5日
関東地区
群馬大学 理工学部 物質・環境類 応用化学プログラム
藤沢 潤一
二酸化炭素(CO2)は、現在、火力発電所や工場等における化石資源の燃焼により大量に排出されており、さらに、その量は増加傾向にあります。大気中のCO2濃度の上昇は、温室効果による地球温暖化を引き起こし、生態系や環境に甚大な影響を及ぼし始めています。地球温暖化を阻止するためには、主要原因物質であるCO2の回収・貯蔵・利用が必要不可欠です。特に、回収したCO2を有効に利用するための革新的な新技術の創出が切望されています。
当研究室では、CO2を用いた太陽電池の開発を行っています。(参考文献[1])この太陽電池では、CO2をカルボキシ基(―COOH)として固定化した安息香酸誘導体が用いられています。安息香酸誘導体は単体では可視光を吸収することができませんが、酸化チタン(TiO2)に吸着させることで、可視光吸収が可能になります。ここが、研究のキーポイントで、新しい光吸収機構である界面電荷移動遷移を用いることで、CO2から低コストで簡便に可視光吸収材料を作れるようになりました。
この可視光吸収材料を太陽電池に応用したところ、可視光を効率よく電流に変換できることがわかりました。興味深いこととして、太陽電池の性能が、吸着基として働くCO2由来のカルボキシレート基(―COO-)によって大幅に向上することが実験的に明らかになりました。このCO2を用いた太陽電池の特徴は、地球温暖化の原因物質であるCO2を有効利用して、グリーン電力を生産できることです。発電した電気エネルギーは、化学エネルギー・運動エネルギー・熱エネルギー等の様々なエネルギーに変換して使用できるため、この太陽電池は、地球温暖化だけでなくエネルギー問題の解決にも貢献できる可能性があります。
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