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なんでも探検隊

新型コロナウイルス感染症拡大防止の切り札
~光触媒銅繊維シート~

2020年8月7日
群馬大学 理工学部

 2020年3月に米国の研究チームが固体に付着した新型コロナウイルスの感染力に関する論文を発表しました。それによるとプラスチックやステンレス表面に付着したウイルスは42〜72時間感染力を維持しているのに対して、銅の表面に付着したウイルスは4時間で感染力を失う(不活化する)ことが分かりました。銅は古くから殺菌効果がある材料として知られていましたが、新型コロナウイルスの不活化に対しても有効であることが示されました。

 一方、光触媒とは光が当たると強力な酸化力を持った化学種を生成する物質で、一般には二酸化チタンが用いられています。二酸化チタンは半導体なので光(紫外線)が当たると価電子帯の電子が伝導体に励起され、価電子帯に正孔と呼ばれる正電荷を持った部分ができます。ここに水中の水酸化物イオン(OH-)が触れると電子が奪われヒドロキシラジカル(OH)が生成します。OHは強い酸化力を持っているので有機物を分解します。菌やウイルスも有機物でできているので、光触媒表面に触れることで分解され感染力を失います。

 従って、銅の表面に光触媒を塗布したものを作れば、高い抗菌・抗ウイルス性能を兼ね備えた材料ができると考えられます。

図1 光触媒の反応メカニズム

 群馬大学では、独自の特許技術を基に、屋内の光(可視光)でも触媒作用を示す物質(可視光応答型光触媒)を合成し、地元企業の協力のもと、銅繊維を密に織った生地に、この光触媒を塗布することで、抗菌・抗ウイルス効果を持った「可視光応答型光触媒銅繊維シート:GUD(グッド)シート」を開発する事に成功しました。

 大腸菌を使ってGUDシートの抗菌作用を調べた結果、普通の銅繊維シートでは、30分間で大腸菌の数は10分の1に減少したのに対し、GUDシートでは、10000分の1に減少し、GUDシートには高い抗菌作用があることが分かりました。ウイルス(バクテリオファージ)を使って同様の実験も試みました。その結果、ウイルスの数は10分間で500分の1、30分間で10000分の1となり、GUDシートはウイルスに対しても高い不活化作用があることが分かりました。バクテリオファージはコロナウイルスとは種類の違うウイルスですが、GUDシートは有機物を分解するため、新型コロナウイルスも不活化できると考えています。

 現在、「可視光応答型光触媒銅繊維シート:GUDシート」は群馬大学発ベンチャー企業・株式会社グッドアイで商品化し販売しています。マスクやドアノブカバーなど色々な物に加工でき、抗菌効果も半永久的であることから、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止する切り札になると期待しています。

図2 GUDシートの活用例
※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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