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なんでも探検隊

カシューナッツの殻が地球を救う!
~環境調和型グリーンプラスチック~

2020年1月31日
東京農工大学 工学部
写真1写真1

 世界経済が飛躍的に発展し、私たちの日常生活がより豊かにより快適になる一方で、その代償として地球温暖化や廃プラスチック海洋汚染問題、化石資源の枯渇問題が世界的な環境問題になっています。この背景には、エネルギー需要の増加だけでなく、石油を原料とする製品の大量生産・消費・廃棄プロセスが引き起こす温室効果ガスの増加、分解性のないプラスチックの不適切な廃棄があります。この問題に対し研究者は何ができるでしょうか。

 2019年、東京農工大学は全国に先駆けて初となる「農工大プラスチック削減5Rキャンパス」活動を宣言しました。この取り組みのひとつとして、工学部有機材料化学科の兼橋真二助教は、食糧需要と競合の恐れのない未利用で食用にならない廃棄資源の有効利用に着目し、地球環境にやさしい石油プラスチックの代替となるグリーンプラスチックの研究開発に注力しています。その原料のひとつに、なんと『カシューナッツの殻』に着目しました。このナッツの殻には天然の油が含まれています(写真1)。近年、このカシューナッツは美容や健康に良い食品として世界的に生産量が増加しており、生産国でのナッツの殻の廃棄量も増加していましたが、発生する殻の有効利用はまだまだ追いついていない状況でした。

 この殻に含まれる油からフィルムやシートといったプラスチックへの応用展開は、これまでほとんど行われておらず、その達成は困難とされていました。これに対し、兼橋助教は紫外線等で容易に固まるグリーンプラスチックの開発に成功しました(写真1)。特に、従来使用されているホルムアルデヒドや重金属触媒、揮発性有機化合物を使用せずに、室温で容易にフィルムやシートが形成できる特長があります。この室温成形性だけでなく、耐熱性や耐薬品性を有し、さらに集団食中毒の原因となる大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性を有する特長があります。さらに、最近、透明な柔らかいグリーンプラスチックの開発にも成功しました(写真1)。

 現在の世界的な地球環境問題は、決してひとりの力で解決できるものではありません。世界の人たちを巻き込んだひとつの大きな流れをもって問題解決に向け真に取り組むことが重要です。そのために現在、兼橋助教は日本だけでなく世界を巻き込んだ産学官が連携した大きな国際協力体制の構築に注力し、日本が先導して環境問題解決にリーダーシップを発揮できる研究開発を進めています。身近な食べ物から発生する『廃棄物』が地球環境を救う重要な『資源』となる日は、みなさんの気がつかないうちにもう目の前まで来ています。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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