
2026年3月27日
東北地区
秋田大学 総合環境理工学部
環境数物科学科 機能デバイス物理コース
教授 吉村 哲
秋田大学理工学部は、令和7年度から総合環境理工学部に改組しました。総合環境理工学部では、環境科学技術に関連した各分野(各学科)の専門的な教育と研究を強化するとともに、分野(学科)横断教育も実施し、自らの専門性を活かし、かつ他者と共創して、グリーン社会実現に貢献できる人材を養成します。
私は、3つ有る学科のうちの1つ、環境数物科学科に所属しています。本学科では、数理科学&地球環境学、マテリアル科学&エレクトロニクス、のいずれかの専門知識を基礎として、自然環境保全やグリーン社会に貢献できる能力を身に付けることを目標にしています。そして私は、本学科内に2つ有るコースのうちの1つ、機能デバイス物理コースに所属しています。本コースでは、金属・半導体・磁性体・誘電体などの各材料の機能や用途、光・情報通信・情報記録・映像表示などの各電子機器・デバイスの動作原理や特性、そして、材料機能と電子デバイス特性の相関について学びます。
私の研究グループでは、新しい機能を持った材料に注目し、その材料の薄膜を高品位に作製する、そしてその薄膜を用いて低消費電力駆動ができる新しい方式の電子機器・デバイスを提案・動作検証する活動をしています。
近年、室温でN・S(磁性)と+・-(誘電)の2つの機能を有する材料が報告されています。この材料は、図1に示すような、特殊な結晶構造を形成して初めて2つの機能が得られます。本研究では、酸化物薄膜を高品位に生産性良く作製できる方法:「反応性パルスDCスパッタリング法」を確立しました。投入電力やパルス周波数などの一般的なパラメータを最適化することは当然、薄膜の原材料となる「スパッタリングターゲット」において酸素を多く含ませながら導電性にする、という新たな工夫を施すことで、実現しました。
作製した高品位な薄膜において、図2に示すように、局所的に電圧を印加することでN・Sの方向を制御することに成功しました。これは、低消費電力でN・Sの方向変化が可能であること意味します。通常の磁性材料では、磁界を印加することでのみ、N・Sの方向を制御できます。磁界を印加するためには、コイルに大きな電流を流さなければならず、それによりコイルにジュール熱が発生するので、大きな電力ロスになります。この新しい方式を、メモリ・センサ・ディスプレイなどに応用して、それらの低消費電力駆動化を実証する研究を行っています。
本コースでは、「素材とエレクトロニクスの融合で実現する近未来の技術」をキャッチフレーズとして、主に、
などを行っています。
秋田は、風力発電など再生可能エネルギー事業が活発であることが知られていますが、発電した電力を効率的に(ロスを少なく)使用する研究も進めています。一緒に環境にやさしい近未来技術を造ってみませんか?
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