
2018年10月26日
東海地区
静岡大学 工学部
電子物質科学科 須田研究室では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の材料研究を進めています。SOFCは純水素を燃料として使うだけでなく、天然ガスを燃料としたときでもCO2の排出量が少なく効率の良い発電が実現できます。また、バイオガスなど多くの燃料を活用できるため、家庭用燃料電池として導入が進められているほかにも業務用発電システムとして研究開発が進んでいます。さらに、将来的には自動車用の効率の高い発電システムとしても期待されています。SOFCは、酸素ガスを酸化物イオンに変える「空気極」、酸化物イオンが緻密なセラミックスの中を移動する「固体電解質」、固体電解質を通ってきた酸化物イオンと水素との反応により水と電子を作り出す「燃料極」が基本的な構成部材です。SOFCが効率よく発電するためには、それぞれの構成部材が効率良くしごとをするだけでなく、その仕事を効率よく隣接する部材に伝えることが非常に大切です。この後者を実現するために必要なのが「界面設計」です。現在研究室で取り組んでいる材料開発のなかで特に界面設計を意識している研究例として、「マイクロ波焼結によるセルの共焼結技術開発」と「
燃料極、固体電解質、空気極の構成部材からSOFCセルを作るとき、一番抵抗の高い固体電解質を薄くすることによってセル全体の抵抗を低減することができます。ところが固体電解質を薄くするとセルが割れやすくなってしまうため、厚くした燃料極と薄くした固体電解質、さらに、燃料極と空気極、さらに薄くした固体電解質を一緒に構築するのが良いことはよく知られています。ところが、燃料極と固体電解質とを一緒に汎用の電気炉で焼成すると、両部材の最適な焼成温度が大きく違うために期待したような発電特性や強度が得られないことがあります。そこで、この両部材の焼成にマイクロ波を活用することを進めています。マイクロ波による加熱方法としては電子レンジが代表的ですが、セラミックス焼成技術としてもマイクロ波は検討されています。たとえば、マイクロ波を活用してセラミックスを焼成すると、低めの熱処理温度で粒径が小さく緻密な焼結体が得られるなどの特徴があります。また、材料によってマイクロ波の吸収量が違うために、自己発熱量を材料によって変化させることもできます。さらに、マイクロ波による熱処理はエネルギーの観点からも優しいプロセスであることもわかってきました。一般に家庭用電子レンジでは800~1200Wの電力を費やしますが、加熱方法や構造を工夫することによって、250~300W程度で1400℃以上に均質に加熱できます。これらの特性を利用して、もともと高温での熱処理が必要だった固体電解質に集中して加熱することによって、発電に好ましい燃料極と固体電解質との一体焼結体、さらにSOFCセルを作製する技術を開発しています。
固体電解質(安定化ジルコニア)を汎用炉で熱処理したとき(左)と
マイクロ波で熱処理したとき(右)の粒子径の違い(走査電子顕微鏡像)
上記はSOFCセルの話でしたが、SOFCを作動させるためには、他にも非常に重要な部材があります。そのひとつが「高温ガスシール材」です。燃料電池では、水素などのガスをSOFCセル内部で空気中の酸素と反応させることによって効率よく電気を取り出します。このとき、セルは700~800℃の高温に維持されています。このときSOFCのセル内部に水素が入る前に水素が漏れてしまうと発電効率が大きく低下するだけでなく、使用する側としても安心して使うことができなくなってしまいます。室温付近で使うのであれば、ゴムパッキングやシリコーンシートなど候補となる材料が多いのですが、高温で酸化にも還元にも十分耐えて水素ガスを遮断できる材料はあまり多くありません。そこで、将来の移動体(自動車)への応用も見据えた新しい高温用ガスシール材の開発を進めています。その開発ポイントとして、日本では通称「
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