気候変化によって、高潮・高波の被害の激甚化や、洪水や土石流などの水や土砂の氾濫被害の激甚化が危惧されています。これらの被害を軽減する技術の開発が、安全なまちづくりのために求められています。私が所属する琉球大学工学部の水圏環境工学研究室では、水理実験やスーパーコンピューターによる数値シミュレーションを使って、水や土砂の運動などの、流体と固体が相互作用する様々な現象の力学機構を調べ、これらを通して河川・海岸・砂防などの水や土砂に関係する被害の軽減のための技術開発に取り組んでいます。
研究の一例としては、新しい人工リーフの設計法の開発があります。サンゴ礁は海面下で高まった地形となり、沖から来る波を砕波させ岸に到達する波のエネルギーを弱めます。人工リーフとは、サンゴ礁のように海面下に高まった地形を人工的に作ることで、高まった地形の上で波を砕波させ、海岸や砂浜を守る構造物です。このような人工リーフは、一般にコンクリートブロックを積み重ねて作られますが、波がコンクリートブロックに作用する現象は複雑で予測が難しく、しばしばコンクリートブロックが流失する被災が生じています。この課題に対し私たちの研究室では、日本の大学では最大クラスの長さ30m、幅5mの大型造波水槽を使って、人工リーフに作用する波の詳細な運動やブロックの移動を計測し、波によるブロックの移動の力学機構を調べています。この取り組みにより、波が砕ける際の乱れと人工リーフブロックの移動の関係が明らかになってきています。最終的にはこの研究を進め、新しい人工リーフブロックの設計方法の開発につなげていくことを目指しています。
大学では、これらの研究を進めるために必要な数学や物理および、情報処理などの学問を基礎から深く学ぶことができます。学んだ知識に基づき自らオリジナルの数値シミュレーションモデルを作ったり、今までに誰も知らない運動の法則を見つけたりすることは、とてもやりがいのあることです。さらにそれが社会に活用されていくため、社会と学問の繋がりを強く実感することができます。学べば学ぶほど自分のできることが広がり、社会に貢献できることが増え、学ぶことがさらに楽しくなっていきます。皆さんも是非大学でそのような経験をしてもらえればと思います。
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