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生レポート!大学教授の声

高等学校の理科と数学

2022年11月10日
弘前大学理工学部機械科学科
教授 佐藤 裕之
生レポート!大学教授の声

 みなさんこんにちは。

 このページを見てくださっている皆さんは、多少なりとも工学部・理工学部に興味を持ってくださっている方々だと思います。大学で進められている研究はとても広い分野に渡っていて、高等学校で勉強している皆さんには、なかなかわかりにくいものだなぁと感じることも少なくないと思います。理科系の科目の勉強の道半ばの皆さんには、大学の先生が使う言葉が難しいと感じることもあるでしょう。私たち教員は、少しでも皆さんに理解してもらいたい、興味を持ってもらいたいと思いながら情報の発信をするのですが、私たちが考えているようにはなかなか伝わらないこともあるようです。皆さんと共通の言葉や概念を使ってお伝えしたいと思いますが、そのためにも基礎となる高等学校の理科や数学を理解することに、私たちも努めなければならないと思います。

 上に書きましたように、大学での研究や学修の内容は非常に広い範囲にわたっています。高等学校で学習する科目は、それらの基礎であり多様な専門分野に共通する内容になっているのですが、専門分野の学修を経験すると見え方が違ってきます。高等学校の教科書に記されていることがらに、例外が少なくないことが解ってくるからです。大学で行われている研究の目的の一つは、雑多に見える事象から普遍的な原則を見つけ出すことですが、見つけ出された原則のまわりには、一見では原則にはあてはまらないように見えることが少なくありません。例外を探求していくことが研究と言ってもよいでしょう。このような目で高等学校の教科書を見てみると、もう少しだけでよいから一歩踏み込んで説明してくれたらなぁ、と感じることがあるのですが、「もう少し」と感じる内容や程度は、専門分野によって違うのです。教科書は、「もう少し」を上手に削ぎ落して書かれています。「もう少し」を書き加えた教科書は、大変な厚さになってしまうことでしょう。

 高等学校で学ぶことは、多くの人にとって基礎となり共通の考え方を成すものですが、人類の智慧の一部でしかありません。高等学校の理科や数学の世界の先には、ときに美しく、ときに混沌として見える学問や社会の世界があります。皆さん自身で、将来、誰も見たことのない学問や社会の新しい姿を見ることができるように、今、皆さんの目の前に見える理科や数学の世界を学んでほしいと思います。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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