工学という学問分野は、人間社会を実質的に支える大きな柱です。いろいろな学科に分かれていますが、共通の基礎的学問内容はほぼ同じです。これまでの教育研究生活を通して、学んだことや印象に残ったことを若い人に書き下すことにします。私の研究は、機能性セラミックス材料の開発に関するものです。
将来、大きな仕事を進めていくには、幅の広い学問を吸収しておく必要があります。ものの見方、発想、現象の解釈に大きな幅と深さが出てくるようになります。私自身、研究内容の進展にともない、応用化学→材料科学→化学工学の領域を順次、学んできました。
新しいセラミックス、金属、半導体、ポリマーなどの材料が開発から、その後システムや製品として社会で使用されるまで、おおよそ10~30年の月日がかかります。その間、基礎研究を行う大学研究者から、応用まで視野に入れた国立研究所の研究者、そして、製品化する企業技術者へ研究成果のバトンが渡されていきます。駅伝に似ています。地道な努力が必要です。自分が担当する役割を理解する必要があります。
1つの研究成果は次の研究の種になり、その研究領域は広がりをもつようになります。そして、分野の異なる研究者、技術者との共同研究へ広がっていきます。そうすると、不可能に近い高いハードルを跳び越すことも可能となります。立場の異なる研究者が集い、討議することで、道が開けるのです。優れた他者との交流は自分を大きく成長させてくれます。
何が、次の世代を豊かにしてくれるのか、そして、その解決に自分が費やせる時間はどのくらいなのかを自問する必要があります。方向性が決まったら、勇気をもって、まず、1歩を進めることが重要です。それらの努力を必ず誰かが認め、それが種となり広がりをもつようになります。
大学の学生、そして、社会人として自分がのめりこむ研究対象を見つけることが、新たな発見と創造につながります。小さな努力の積み重ねが、王道につながります。一旦のめりこむと研究、仕事の楽しさが倍増されます。そして正のスパイラル循環が構築されます。
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