水性ペンや油性ペンに含まれている色素を、ペーパークロマトグラフィーを使って分離してみましょう。また、分離した色素の中に、ブラックライトを当てた時に光る蛍光色素が含まれていないか探してみましょう。
コーヒーフィルターを細長く切ります(幅は1 cm程度、長さはコップの高さと同程度)。
細長く切ったコーヒーフィルターの下から1 cm程度のところに、鉛筆で横線(スタートライン)を引きます。
鉛筆で引いた線の中央に、ペンで点を書きます。
輪ゴムを使ってコーヒーフィルターを挟んだ割り箸を、少量の液体(水またはエタノール)が入ったコップの口に掛けます。このとき、液体の量は、コーヒーフィルターに引いたスタートラインの少し下になるようにします。
液体が蒸発しないようにコップの口をラップで覆い、数分間放置すると、コーヒーフィルターの上部まで徐々に液体が浸透していきます。
コーヒーフィルター上に展開された色素の様子を観察しましょう。
水性ペン(黒色)
黒の水性ペンで書いた点を水で展開すると、黒色の点が赤色、青色、黄色の成分に分離します。これは、黒インクが三原色の色素を混ぜて作られているためです。
油性ペン(黒・赤色)
油性ペンのインクは水に溶けないので、エタノールで展開します。水性の黒インクとは異なり、油性の黒インクには黒色色素が使われているため、色素が分離しません。油性の赤インクは、ブラックライトを当てると、鮮やかに発光する蛍光色素が使われていることが分かります。
蛍光ペン(緑色)
緑色の蛍光ペンで書いた点をエタノールで展開すると、ブラックライトを当てた時に緑色に発光する黄色の色素と、スタートラインに留まり発光しない青色の色素に分離します。
さまざまな色のペンを使って、インクに使われている色素を調べてみましょう。また、同じ色のペンでも、メーカーによって使われている色素が異なることもあるので、その違いを比べてみましょう。
細長く切ったろ紙(コーヒーフィルター)の下端を液体に浸けると、毛細管現象により液体はろ紙の上部に向かって吸い上げられます。このとき、インクに含まれる色素は、液体との親和性(仲の良さ)が高いと一緒に移動しますが、紙との親和性の方が高いと移動しません。インクにいくつかの色素が含まれる場合、それぞれの色素と液体との親和性が異なることから、移動のしやすさに差が生まれ、色素を分離することができます。
インクにはブラックライト(紫外光)を当てると発光する蛍光色素が使われていることがあります。下図は蛍光発光の原理を簡単に示しています。エネルギーの低い基底状態にある電子が紫外光のエネルギーを受け取ると、高エネルギーの励起状態になります。励起状態の電子は、一部のエネルギーを熱などとして放出した後、残りのエネルギーを蛍光として放出することで基底状態に戻ります。蛍光は、紫外光よりもエネルギーの小さな可視光となるため、肉眼で確認することができます。
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