未来へ:工学部の森 |
未来へ:
ここ緑の美しい横浜国立大学常盤台キャンパスの工学部長室の窓のすぐそばに、小さな森がある。いまそこで、植木屋さんが木の手入れをしている。この原稿を書こうとしている時、未来という字の中には木が入っていることに気がついた。昨日その植木屋さんが言っていた言葉を思い浮かべながら・・・。植木屋さんは、ちょっと意外なことを言った。「大きく伸びて元気な木の先端の幹を切ってやるんだ」と。切ってやると元気なものだから、横に枝が広がって、いい木になるという。そこにある大きく広がったシイの仲間のスダジイは買えば300万円はしますよと。
『未来』の未という字を眺めていると、突き抜けて育っていく木の上に横棒があって、それを一本ひくだけで、幅を持って大きくなっていく未来を予想させる。まさにひとつの木である一人の学生が育つときに、工学専門科目のほかに、工学基礎や教養教育という横棒をひいてさらにいい人間に育っていく大学教育だなあと。じゃあ常盤台キャンパスで学ぶ『工学』って何を学ぶのかって?高校までに学ぶのは文科系、理科系って分けてあるけど、理科って言うのは自然現象の不思議を学ぶわけで、なぜだろうって言う疑問をぶつけることになる。科学に対する英語は「Science」だが、それにはもともと知識という意味がある。自然現象の中から法則を見つけてそれを知識として、工学というのはその見つけた法則を、社会生活の中に使える工夫をすること。未来って漢字を見たから、今度は『工』って言う字を見てごらん。2本の横棒は上下に置いて固定された平面を真横から見たもの。下の平面の一点に印をつけて、その真上にあたるところに、上から穴を開けたいとする。さあどうしよう。そこで道具を使ったり、考えたり、工夫をしなければならない。
工夫をして、人間社会で使えるものをつくる。それが工学。ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料、エネルギー、ものづくり技術、社会基盤、フロンティアなどの広い分野で工学が使われている。工学の英語は「Engineering」だが、その言葉はもともとひらめきという意味が含まれていた。知識を使って想像力を働かせ、人間社会に貢献する。工学がかかわる空間は、サブナノという極微細な空間から、137億光年の宇宙空間にまで広がっている。科学を学び、ひらめきを現実のものにする。
木がたくさん育ち、林となり、さらに大きくなって森ができるように、豊かな未来は一人ひとりの元気な集合体です。
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私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |