私は京都工芸繊維大学の応用化学系に入学し、高分子について勉強しました。現在は大学院で修士1年生として研究をしています。ここでは大学の工学部では何をしているのかということと、工学部の研究とはどんなものかを私の経験を通して紹介したいと思います。
工学部は「モノづくり」をするために必要なことを学ぶところです。この世にまだない新しいものを生み出すには、この世にまだない新しいアイデアが必要です。そのアイデアを生む力は研究を通して培います。研究を行うためにはまず知識が必要です。従って大学では1年目は数学や化学、英語など高校の勉強の延長のような教養科目を習い、2年目以降は高分子化学や物理化学など専門の授業や学生実験を通して専門知識を学びます。そして4年目は研究室へ配属され、与えられた研究テーマでそれまで学んだ知識を生かして目標達成のために研究を行います。
では研究では何をするかということですが、例えば私の研究テーマは簡単に言うと「放射線を当てると色が変わる繊維の作製」です。リトマス試験紙は酸や塩基によって色が変わりますが、その放射線バージョンと考えてもらうとわかりやすいかもしれません。どれだけ弱い放射線で色を変えることができるか、ということを研究しています。繊維というのは高分子ならではの形態をとる材料で、これを扱うためには大学で学んだ高分子の専門知識が必要になります。ここから先が面白いのですが、実は研究に持ち込む知識は何でもアリです。大学で学んだことだけでなく、趣味や経験、思い出など自分の持つ知識全てを研究へ応用できます。私の場合は、小学校の時に食べた綿あめからヒントを得て繊維を作りました。繊維を作るための機械は高校時代に自転車を組み立てていた経験で自作しました。
モノづくりのために新しいアイデアを提案するためには専門知識だけでなく、自分の持つ知識全てをどう応用するかということが大切です。工学部では研究を通してその術を学び、自分だけの知識から自分だけのアイデアを提案し、自分だけのものづくりを学ぶことができます。私は化学系ですが、モノづくりをする上ではどの分野でも同じことだと思います。自分にしかできないモノづくりでこの世にまだない新しいものを作りませんか?
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