私は現在、携帯や自動車に使われている電子部品のメーカーに就職し、研究開発の仕事をしています。多くの方とのご縁やご支援をいただき、昨年、働きながら博士号を取得しました。
高校時代の私はやりたいことがきまっておらず、漠然と進学を考えていました。物理や数学は得意でしたが、化学は苦手で、授業中にはあきらめて寝ていました。車や機構に興味があって工学部の機械学科に進学しましたが、その決断には特に確信があったわけではありませんでした。
高校時代の自分に対して、
「お前は大学院で化学の研究分野に進み、就職後も材料の研究をするぞ」
「就職した後、社会人ドクターに進学するぞ」
と伝えたら、きっと驚くでしょう。
大学院の修士課程に進学した際に、縁あって化学系の研究をすることになりました。始めは苦戦しましたが、必死でやっていると1年後には化学が好きになっていました。人生の中で興味が変わることは自然なことであり、苦手だったことでも、向き合えば面白さが見えてくるということを実感しています。
最近は地学や植物にも興味がわいてきて、子供と散歩中にみかけた石や花を調べたり、家でオジギソウやネモフィラを育てたりしています。日々、自分の興味のある分野が広がっていくことを感じています。どの学問も、先人が知的好奇心から夢中で取り組んだものだと、今になって感じます。苦手であきらめていた授業も、せめて授業中には聞いておけばよかったです。
大学の授業で、工学の"工"という字の意味を教わりました。
「上の横棒は、天の理(ことわり)、つまり自然の原理(科学)を表している。下の横棒は地の人、つまり私たちを表している。そして縦棒が天と地を結んでいる。つまり、工学とは天の理を地の人のために役立てるようにするということだ。」
このようなお話を聞き、ワクワクしたことを覚えています。モノづくりのよろこびや、それが世の中に役立っていることを感じたい人は、工学部が肌にあうと思います。
もしタイムマシンで高校時代の自分に会えたら、将来に対する不安や悩みを打ち明けられるかもしれません。その時にはこんな話をしながら、「大丈夫、選り好みしないで向き合っていれば、そのうちやりたいことがみつかるよ」と、充実した顔で話していると思います。そうすればきっと、素晴らしい発見や体験が待っています。
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