私は農林水産省の外局である、林野庁関東森林管理局下越森林管理署で森林整備官として働いています。林野庁はその名前のとおり森林、林業についての適正な運営を図る官庁であり、入庁者には林学系の出身者が大多数で、工学部を目指す皆さんには馴染みの薄い官庁なのではないでしょうか(実際私も在学中に林野庁の仕事内容を把握していたかと聞かれれば、、、)。そんな林野庁の森林整備官の仕事内容について少し紹介させていただきます。
森林整備官は大抵の場合、全国に配置されている120の森林管理署等に配属されています。Googleマップ等で「森林管理署」と検索すると至る所に配置されているのがわかるでしょう。そんな各森林管理署等で管轄内の国有林を整備し、「植える・育てる・収穫する・使う」という「緑の循環」をつなげ、林業の成長産業化の実現と、多面的機能の維持・向上を図ることが主な業務内容です。
この森林整備の中で収穫=伐採というと環境破壊ではないかと思われる人もいるかもしれません。しかし、木を切った後に木を植えて森林が回復すれば若い木の方が二酸化炭素吸収能力が高いため結果として環境的にはプラスに働くと考えられます。また、現在日本の人工林は本格的な利用期を迎えています。そして、もともとの高い木造技術に加え技術開発も進展し法律上はどのような建物でも木造で建てられる世の中になりました。都市部に木造建築をつくることは二酸化炭素を固定し、街の中に第二の森を作ると言われています。そのため適切に森林を利活用することは緑と経済を循環させることにつながります。近年「持続可能な開発目標(SDGs)」への関心が世界的に高まっているので、林業という古いけど新しい仕事があるということを覚えていただけたら幸いです。
最後に大学時代に学んで役立った知識について、ほかの方も書かれていますが役に立たない知識というものはありません。林野庁は林学系の出身者が多いですが土木や治山といった直接的な工学系の知識が必要な業務もありますし、林学系の知識も大学での学び方の基礎がしっかりできていれば充実した研修制度が整っているので基本的な知識はすぐに身につきます。工学部を目指す皆さんも専門外のことだと思っても恐れず「とにかくやってみる」の精神でいろいろなことに挑戦してみてください。
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