私は金沢大学を卒業後、同大学院博士前期課程を修了しました。現在総合電機メーカーで信号処理に関する研究開発業務に携わり、非常に充実した生活を送っています。工学部では正直言って、想定していたものと違うなぁ、とギャップを感じる経験が少なからずありました。しかし今では良い思い出です。
私は中学生や高校生の頃、数学の問題を解くために色々考えることが好きで理系に進みました(点数だけ見ると得意な科目は国語や日本史だったのですが...)工学部を選択したのは、理学部と比較して数学を応用する機会に恵まれるのではないかと考えたからです。専攻は情報工学を選択しましたが、これはプログラミング関係の講義から数学を学ぶ機会が多数あるだろうと考えたからです。
しかしいざ情報システムコースに配属されると、数学だけではなく様々な分野を学ぶ羽目(?)になりました。嫌々受講した講義もありました。ただ、振り返ると様々な分野を学んだからこそ、幅広い知見が得られましたし、現在の業務に対しても真摯に取り組めているのだと考えています。例を挙げると、電波及びアンテナの仕組みを学ぶ講義があり(電波及びアンテナは情報をやり取りするための媒体となります)、当初は「プログラミングと全く関係ないじゃん」と考えていましたが、アンテナによるFMラジオ受信実験を通してものづくりの楽しさを知ることができました。この経験が現在メーカーで働く原動力となっています。
また大学4年生からは、通信情報工学研究室にて宇宙空間で観測されたデータを機械学習で自動的に分類する技術の開発に取り組みました。地道な作業が多く大変でしたが、この技術開発を通して、考えに考え抜いたアイデアで成果を出す喜びを知ることができました。この経験は現在私にとって貴重な財産となっています。
工学は、誤解を恐れずに言うと泥くさい学問です。理論体系が確立されていない部分は多々ありますし、実際の技術開発に直接適用することも簡単ではありません。しかし、工学は現実問題を解決するための知恵が集積している場です。だからこそ、工学の知見は私たちの血肉となります。そして工学は、自ら手を動かすことで問題を解決することの素晴らしさを教えてくれます。もしも再度高校生に戻ることが可能ならば、私が受験する大学の学部は間違いなく工学部でしょう。
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