みなさんが持っている「情報」という分野に対するイメージはどのようなものでしょうか。情報科学科や情報工学科などいろいろな名称のある情報関連の学科ですが、学ぶ内容が入学前に持っていたイメージと違っていて、ショックだったという話を大学生からはよく聞きます。これは高校で習う「情報」が文書作成や表計算など主にリテラシーの内容となっているのが原因のひとつです。最近では、人工知能ブームのおかげもあって、プログラミングや人工知能を学ぶ学科というイメージも広まってきているでしょうか。
大学の情報関連学科で学ぶのは、簡単にまとめてしまうと、情報を中心とした学問ということになります。もう少し具体的には、たとえばプログラミングは情報を加工・処理する技術ですし、コンピュータネットワークは情報を伝送する技術です。人工知能や機械学習では情報からパターンを見つけ出すことが主軸となります。情報処理には計算がともなうことがほとんどですが、やり方によって速い遅いがあり、理論面から計算のコストを研究する理論計算機科学という分野もあります。
わたしはこれまでハードウェアの設計検証という研究に取り組んできました。プログラムを動作させるハードウェアの設計も大学で学ぶ情報の技術のひとつです。ハードウェアを設計すると正しく動作するかどうかを確かめる必要がありますが、製作コストが大きいので、まずプログラムを使ってソフトウェア的に動作を調べます。ここでは論理代数と呼ばれている理論が不可欠の役割を果たします。つまり、この研究ではハードウェアが対象だけれど、使っているのはプログラムで、支えているのは理論という構図になっています。
このように情報分野では、基礎理論から応用技術まで複数の要素を組み合わせて課題解決を図ることが多くなります。実社会への応用では特にこの傾向が強くなります。インターネット上に多くの学習コンテンツが公開されている今日では、プログラミングだけであれば、あるいは機械学習の技術だけであれば、独学で学ぶことができるかも知れません。でも、たいていの人には、なにか苦手な科目というのがあって、多岐にわたる科目内容をひとりで学びきることは難しいのです。教員やまわりの学生の助けを得て、1つの分野をまとめて学ぶことができるのは、大学をおいて他にはないとわたしは考えています。大学で「情報」を学ぶことを是非考えてみてください。
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