私が半導体(ICチップ)の世界に引き込まれたのは、高校生の時でした。当時、動画・音楽ダウンロードサービスが開始され、見たい動画、聞きたい音楽をすぐに再生できるこのサービスに、衝撃と感動を覚えました。どうしてこんなことができるのか? 調べてみると、携帯電話に内蔵されている半導体にPCの機能を集積していることがわかり、この半導体の仕組みをもっと知りたいという気持ちから、半導体の基礎・応用に関する研究を活発に行っている神戸大学工学部への進学を決意しました。
大学の研究室では、4Kテレビなどで高画質画像拡大を実現するための超解像処理エンジンの研究を、自ら志望して進めていきました。修士論文提出の直前に、なんとかリアルタイムの超解像処理を実現できた瞬間の感動は今でも忘れません。そのような感動体験を二度も提供してくれた半導体と関わり合える道なら、また面白いことが待っているに違いないと思い、半導体メーカーに就職しました。
半導体メーカーに就職してからは、自動車に使われている半導体の設計開発から試作、テストまで幅広い業務に携わらせてもらい、どんどん半導体に対する理解が進みました。もっともっと知りたいという気持ちから、新しい業務にも手を挙げて取り組んでいます。そのような機会を得られる半導体の仕事に、喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。
私は上記の通り、感動体験を通じて自分の進むべき道を決めてきました。つまり「感動体験は人生の道しるべ」になると思っています。そして、そのような感動体験を子供達にも提供して、新たな道しるべになればと思い、2014年から有志のエンジニアを集めて休日に半導体を活用したプログラミング教室(動画参照)を開催しています。
教室では、第一線で活躍するエンジニアが直接子供たちにプログラミングを指導することで、子供たちにプログラミングの楽しさや日常生活に役立っている技術について伝えています。その結果、子供たちは「こんな世界があったのか?!」とのめり込むようにプログラミングに取り組みます。「明日から僕はエンジニアを目指す!」と、進むべき道が見えて目の色を変える子供も出てきます。
また子供たちが感動する姿を見て、実は教えているエンジニアの側も大きな感動体験が得られ、エンジニア自身の自己肯定感の向上に繋がります。さらに、社会・地域へ主体的に働きかける経験が、自己効力感の向上に繋がり、組織で開発を進める本業でも大きな効果を発揮します。
このように、子供達と教える社会人の双方にとって有益な活動に、今後は社外の人も巻き込んで取り組んでいきたいと思っています。
みなさんも、まずは自分自身の感動体験や何かに熱中する瞬間を大切にして下さい。そして、それを通じて何かしたいことが思いついたら、是非チャレンジしてみてください。それはみなさんの新たな感動体験となり、人生の道しるべになるでしょう!
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