トップページ > おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界) > 流れの法則を理解して流速を測ってみよう(ベルヌーイの定理とピトー管)

おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

流れの法則を理解して流速を測ってみよう
(ベルヌーイの定理とピトー管)

2026年1月30日
山口大学工学部 望月 信介

1.はじめに

図1 製作する流速計図1 製作する流速計

 流体力学にベルヌーイの定理という法則があります。エネルギーの保存を表す法則ですが、この法則を用いて簡単で高精度の流速計を作ることができます。その工作を通じて定理の意味を理解しましょう。

2.材料の用意

 材料は以下にあるものを使用します。

図2 使用する材料図2 使用する材料
  • ペットボトル 1
  • 曲がるストロー 2
  • スチレンボード 1
  • 方眼紙 1
  • クリップ 2

 曲がるストローは喫茶店や100均で入手できます。方眼紙はネットなどで探して入手しましょう。ペットボトルは使用済みのもので十分です。

3.使用する道具

図3 工作に使用する道具図3 工作に使用する道具

 工作に使う道具を以下に示します。グルーガンは手芸用のもので、ご家庭にない場合はワゴンセールなどで安く入手しましょう。乾燥待ち時間不要で、何でも接着できるので便利です。カッターナイフの使用には気を付けてください。

  • グルーガン
  • カッターナイフ
  • 定規
  • はさみ
  • のり
  • ドリルかヤスリ(外径6~7mm)

4.作ってみましょう

 ドリルかヤスリでペットボトルとキャップに6~7mmの穴を開けます。開ける位置はボトル底から20mmくらい、キャップの中央です。

 ストローの1本は曲がり部から両方の長さが同じくらいの長さになるように切断します。もう一方はそのままです。クリップ延ばして、片方はL字型、もう一方はコの字型にします。

 グルーガンでストローを固定します。短く切断したほうをL字型クリップと合わせてキャップに固定します。切断しなかったほうは曲がり部から短いほうをペットボトルに差し込んで固定します。水や空気が漏れないよう、しっかりと固定材をつけましょう。水を入れると漏れが分かります。

図4 ボトルとキャップの穴開け図4 ボトルとキャップの穴開け
図5 ストローとクリップ図5 ストローとクリップ
図6 グルーガンでストローをしっかり固定
図6 グルーガンでストローをしっかり固定

 スチレンボードを適当な大きさに切断し、ストローに沿うようにしてペットボトルに固定しましょう。固定はグルーガンで行います。方眼紙をスチレンボードに貼りつけます。円グラフの中心がストローの曲がり部に一致するようにするのがベストです。

図7 方眼紙を貼り付けたスチレンボードの固定
図7 方眼紙を貼り付けたスチレンボードの固定
図8 コの字クリップでストローを固定し、完成!
図8 コの字クリップでストローを固定し、完成!

 コの字に変形したクリップでストローをスチレンボードに固定します。ストローの角度を可変するためのガイドになります。水を入れてキャップを閉めれば完成です。水面がストローを取り付けた位置から上に10~15mmくらいにくるよう水を入れてください。

5.理論展開

 ベルヌーイの定理は式(1)に示す速度エネルギー 、位置エネルギー、圧力エネルギーの和が一定になることを示したエネルギー保存則と呼ばれます。

図9 ドライヤーの風に当てることで端面に淀み圧力(=風圧)が発生
図9 ドライヤーの風に当てることで端面に淀み圧力(=風圧)が発生

 写真のように、ドライヤーの風をキャップに固定したストローの端面に当てます。ストロー端面に衝突した流れは淀むことで風圧が発生します。風圧=運動エネルギーです。

6.風圧の計測

無風状態無風状態
ドライヤーの風を当てた状態ドライヤーの風を当てた状態
図10 ドライヤーの風で風圧が発生し、液面が上昇

 ドライヤーの風をストローの端面に当てるとそこに風圧が加わります。その風圧により液面が押し上げられます。液面の上昇と風圧との関係は以下のようになります。

 式(2)と(3)の風圧は等しいので、式(4)にある速度Vの計算式が導かれます。

7.実験

 実験してみました。条件は以下のようになります。

8.おわりに

 ベルヌーイの定理は翼の揚力や風車の理論、野球などのスポーツボールのカーブやシュートの説明などの様々なところに応用されています。スイスの学者一家に生まれたダニエル・ベルヌーイが1738年に導きました。製作した器具はピトー管と呼ばれ、フランス人のPitotが1973年にパリのセーヌ川ではじめて実験したもので、現在は航空機などの速度計として欠かせないものとなっています。

 ベルヌーイの定理を利用した器具や機械にどんなものがあるのか調べてみましょう。

図11 旅客機に取り付けられたピトー管
(東京航空計器株式会社のホームページから引用)

9.文献

(1)石綿良三「図解雑学流体力学」ナツメ社、pp.218-219、pp.206-209.

(2)日本機械学会編「流れのふしぎ」講談社ブルーバックス、pp.98-109.

(3)“ベルヌーイの定理:楽しい流れの実験教室”. 日本機械学会流体工学部門:楽しい流れの実験教室、日本機械学会のホームページ.

  • ※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

関連記事

2020-09-18

生レポート!現役学生の声

おもしろい研究をするためには

信州大学工学部

2021-11-19

なんでも探検隊

次世代の空港の運用方法を考え、最適化するため技術を開発

茨城大学工学部

2022-12-02

工学ホットニュース

フレキシブルセンサがIoT社会を加速する

山梨大学工学部

2022-02-10

輝く工学女子!(Tech ☆ Style)

たくさん迷い、「今」の欲望に忠実に生きる

佐賀大学理工学部

2025-08-29

Pict-Labo

AIを用いたターボ機械の全自動設計

長崎大学工学部

2025-08-29

なんでも探検隊

力学の観点から「折れる」を科学し、「折れない」を工学する

弘前大学理工学部

山口大学
工学部

  • 機械工学科
  • 社会建設工学科
  • 応用化学科
  • 電気電子工学科
  • 知能情報工学科
  • 感性デザイン工学科
  • 循環環境工学科

学校記事一覧

おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)
バックナンバー

このサイトは、国立大学56工学系学部長会議が運営しています。
(>>会員用ページ)
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。
これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。