弘前大学の機械科学科では4つの力学(材料力学・流体力学・熱力学・機械力学)を基礎とした従来の機械工学に加え、健康や医療に関わる「医工学」を学びます。教員のみならず学部生や大学院生が工学や医学の発展に貢献すべく日々の研究活動を進めています。
我々の研究グループは主に材料力学に関わる研究を進めています。通常、この分野の研究者は機械構造物の機能や強度を評価し、更に良いモノを生み出す技術を探究しています。我々はこの知見を医療分野に展開することで、身体運動を支える骨や筋肉の機能を明らかにし、怪我を防ぐ技術の開発に挑んでいます。これまで、「どのように骨が折れるか」を明らかにするため、骨組織の顕微鏡観察や、エックス線を利用した原子・分子構造の解析まで実施してきました。そして現在は、「どうすれば折れなくできるか」という視点で研究を進めています(図1)。さすがに、骨折の心配がない社会の実現にはもう少し努力と時間が必要です。もし、この話に興味が湧いてきた方は、我々と一緒に研究を進めてもらえると心強いです。
さて、我々のような大学所属の研究者には地域貢献も期待されています。これまでの経験を地域の産業に役立てようと、果樹栽培に工学の知見が活かせるテーマを探り(図2)、果樹枝の変形シミュレーションと損傷予防の研究をはじめました。樹は自重や果実重量の作用により大きくたわみ、風雨等の負荷が加わることで枝折れが発生します。枝に作用する力と変形、損傷の関係を明らかにすることで、より良い果実配置や支持位置が提案できます。この知見に基づいた果樹形・支持構造の設計と実証試験も実現しています(図3)。しかしながら、北国特有の課題である、「雪の負荷」の実態を明らかにすることは容易ではありません。積雪・融雪といった雪の動態を考慮した理論を構築することもそうですが、極寒の屋外で機器を運用することの難しさや、寒さに震えながら作業するのも一苦労です。実作業の問題は意欲と工夫で何とかするとして、圧倒的に不足している果樹の生態、雪の性質、屋外計測に関する知識は、農学、気象学、通信工学といった他分野の研究者と連携することで補っています。昨今の変動激しい気候の中で安定した食料生産システムを構築するために、これからも工学分野で培った知見を携えて多くの専門家と協働しながら役割を果たしていきたいと思います。
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