私たちは、身の回りの状況をいろいろな感覚で感じ取っています。主なものは視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚で、「五感」といわれています。この中で、嗅覚は鼻でにおいを感じる感覚ですが、実はこのにおいは、食べ物を見つけたり危険から身を守ったりする際に、とても重要な役割を果たしています。しかし、生活の中で嗅ぎたくないにおいが存在すると、それは悪臭として問題になります。悪臭問題を解決するためにはにおいを数値化する必要がありますが、さて、どのような方法があるのでしょうか?
その前に、においの感じ方の特徴について、少しお話しをしておきましょう。皆さんも経験があるのではないでしょうか?
においを目で見ることはできません。では、どのようにして測ったらいいのでしょうか?主な方法として、以下の3つがあります。
上で説明した②の「においの感じ方を測る」ための「ものさし」を作ってみましょう。今回はにおいの強さを測ってみましょう。いろいろな方法を試して、一番いい方法を見つけましょう。
においの強さを測りたいもの(試料)を入れ物に入れます。
液体試料(ジュースなど)は三角フラスコまたは深めのコップに入れて、アルミ箔でふたをします。このとき、たくさん入れすぎないようにします。【写真④】
固体試料(蒸れた靴下など)はビニール袋に入れて中を空気で満たし、輪ゴムで封をします。【写真⑤】
しばらく時間がたったら(例えば30分)、入れ物の中のにおいを嗅いで、においの強さ尺度表のどのレベルに相当するか数値で答えます。このとき、0.5刻みで答えてもかまいません(2と3の間だと感じれば2.5とします)。
結果は0~5の数値で表現することになります。
同じ試料の強さについて、メジャーを使って数値化してみましょう。
まず、メジャーを両手で左右に伸ばしたときの最大の長さを記録します。これを感じうる最大の強さを表す長さとします。
次に、試料のにおいを嗅いで、感じた強さに対応するようにメジャーを両手で左右に広げます。そして、そのときの長さを記録します。ここでは、メジャーの目盛を見ずに自分が感じたまま広げるようにしましょう。
試料のにおいを嗅いで測った長さを、最初に測った最大の長さで割って、においの強さを数値化します。結果は0~1の数値で表現することになります。
同じ試料の強さについて、クエン酸を使って数値化してみましょう。
まず、6個の紙コップに0~5の番号を書きます。
次に、クエン酸の水溶液を上記の紙コップに6種類用意します。それぞれの濃度は表に示す値とします。水溶液を作成するときは、計量カップ、キッチンスケール、スプーンを使います。低濃度のものが1回で作成できないときは、濃い水溶液を薄めて作成します。【写真⑥】
紙コップの中の水溶液を0から5まで順番に口に含み、それぞれの刺激(酸っぱさ)の強さを記憶します。このとき、水溶液は飲まずに出します。
試料のにおいを嗅いで、感じた強さが水溶液の刺激のどのレベルに相当するか番号で答えます。このとき、0.5刻みで答えてもかまいません(2と3の間だと感じれば2.5とします)。
結果は0~5の数値で表現することになります。
以上の実験を他の人にもやってもらいましょう。ただし、事前に実験内容を説明して了解を得ておきましょう。
多くの人のデータをあわせて集計し、同じ試料でばらつきが大きいか小さいかを比較します。このとき、結果が0~5の数値で出る方法と0~1の数値で出る方法がありますので、その違いを考慮して比較します。グラフに表すのもいいでしょう。
また、実験をやってもらった人にそれぞれの方法の感想を聞いておきましょう。
さて、どの方法が一番いいと思いますか?
他にもっといい方法はありませんか?
同じ試料を使っていくつかの方法でデータを取る場合や、同じ試料を使って多くの人でデータを取る場合は、試料が同じ状態でなければ結果を比較することはできません。つまり、試料の状態が実験途中で異なってしまうと、いくらたくさんデータを取っても比較には使えないということになります。今回の実験でも、部屋の温度や試料を入れ物に入れてから嗅ぐまでの時間など、実験条件はできるだけそろえるようにしましょう。
また、においの感じ方は同じ人でも変化します。体調や食事の影響を受けますので、体調に問題なく、食後しばらくたった状態で実験するようにしましょう。
今回の実験を応用すれば、消臭剤の効果判定も可能です。いろいろな活用方法を考えてみてください。
においの世界では、まだまだ分からないことがたくさんあります。今回の実験をきっかけにして、身の回りの世界と人間の心の世界にまたがる不思議な世界をもっともっと探検してみませんか?
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