小学校1年生の時に生まれて初めて持った将来の夢は、パン屋さんになることでした。週末になると、近所のパン屋さんでいろいろなパンを買ってもらったことがきっかけです。年齢を重ねると共に、将来の夢は様々に変わっていったと思いますが、高校生の時はパイロットになることが将来の夢でした。仕事で日本や世界の各地に行くことができる点が主な理由だったと思います。ただ正直に白状すると、大学進学に向けて学部や学科を絞る際に何か具体的な根拠が必要となるので、なんとか捻り出した夢でした。
航空の勉強ができる学科をいくつか絞り、最終的に東京農工大学工学部機械システム工学科に入学しました。入学してみると、航空に関連する講義以外にも多種多様な講義があり、「機械工学」という学問の面白さを知りました。4年生で卒業論文研究に取り組む頃には、航空への興味は薄れてしまっていました。その代わりに、「嗅覚ディスプレイ」という謎の装置に興味を持ちました。嗅覚ディスプレイは、バーチャルリアリティなどで匂いを出す装置のことです。現状では映像や音声の提示が主ですが、匂いも提示できれば、更に高い臨場感が実現できると期待されます。
現在は、電気通信大学の情報学専攻で助教として、研究教育に携わっています。現在の研究は、大学4年生の時に出会った「嗅覚ディスプレイ」が軸となっています。上述の通り、バックグラウンドは機械工学ですが、研究を進めるうちに異なる分野にも展開し、今では情報学という分野で仕事に携わっています。大学教員になることは夢にも思いませんでしたし、夢見ていたわけでもありません。ただこの職業であれば、私が今やりたいと思っていることや興味を持っていることに対して、全力で取り組むことができます。これまでを振り返ると、その時その時で、自分の中の興味関心に耳を傾け、それを追求する方向に行動し、今にたどり着いたと思っています。
移り変わりの激しい時代です。自分が思い描く将来像や、マスメディアや世間が理想だと持て囃すキャリアパスは、十数年後には全く別のものになっているかもしれません。そんな時に必要なのは、柔軟な対応力や。積み重ねてきた知識・技術というものではないかと、稚拙な経験からではありますが、考えています。私自身、研鑽の姿勢を忘れず、世の中の潮流を汲み取りつつも自分の興味関心に耳を傾けて、これからも邁進していきたいと思っています。
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