皆さん、蜃気楼や陽炎を見たことはありますか?
ものが浮いて見えたり、空間がゆらいで見えたりして、とても不思議な現象ですよね!
実は、それらは光の性質”屈折”が織りなす現象なんです。
今回はそんな光の屈折を利用した”シュリーレン撮影法”に取り組んでみました!
屈折とは、異なる物質の境界面で光が曲がることをいいます。 境界で光の”波長”と”速さ”が変化すると屈折します。このとき、物質中の波長λ’と速さv’に対する真空中の波長λと速さvの比を屈折率nといいます。
また、密度が異なると同じ物質でも屈折率は変化します。
物質の密度が変化する身近な要因は「温度」です。
実は、蜃気楼や陽炎は空気の「温度」の違いで起こる現象だったんですね!
では次に、どのようにして物質の屈折率の違いを撮影するのか見ていきましょう!
シュリーレン撮影法を行うには平行光が必要です。ただし、平行度はそれほど大切ではありません。ポイントはレンズの焦点が本来の位置とズレるかどうか、です。
平行光はレンズの焦点で集光しますが、途中で密度(屈折率)の変化が生じると、そこへ入射した光は屈折するので焦点で集光しなくなります。そこでナイフエッジを焦点へ置き屈折光を遮断すると、屈折率の変化を像のコントラストの違いとして撮影することができます。つまり、密度が異なる領域の淵部分を観察できるのです。
※凹面鏡の場合は、凹面鏡と観測対象をできるだけ近づけることで平行光を再現します。
※この実験では凹面鏡を使った例を紹介します
メジャーを伸ばし、テープなどで机や床に固定します
※用いる凹面鏡の種類等にもよりますが、150 cmくらい伸ばておくとよいです
※メジャーがあると、道具の配置や実験の作業がスムーズになります
カッターの刃を自立するもの(ペン立てやびんなど)にテープなどでとめます
燭台(小さい湯呑などの裏にロウをわずかに垂らして、熱いうちにろうそくを載せれば台にできます。)の上に、ろうそくをのせておきます
メジャーに沿って、各道具をジャッキにのせ、写真のように配置します。このとき、観測対象(ろうそく)は凹面鏡のすぐそばに位置に置くことに注意しましょう。(器具間の細かい距離調整は後ほど行います。)
このとき、光源、凹面鏡、ビデオカメラの中心がなるべく同じ高さになるように配置すると、後の調整が簡単になります。
斜めから見るとこのようになります。
今回はビデオカメラを用いたため、観測対象は凹面鏡の焦点の内側(凹面鏡のすぐそば)に配置しています。つまり、観測対象の虚像をカメラで観測することになります。一方、カメラの代わりにスクリーンを用いる場合は、観測対象を焦点よりも外側に配置します。そうすると観測対象の実像がスクリーンに映り、観測することができます。
※直接光源を覗き込むと危険なので、必ずビデオカメラを通して見るようにしましょう
観測対象にカメラの焦点を合わせるときれいに観察できます。
次の動画のように見えれば実験成功です!
(前のスライドの)左の画像は①市販の点火棒から出るガスの様子で、右が②ろうそくの周りの空気の様子です。一見似ているようですが、
①は空気とガスの屈折率の違い、②はろうそく付近の空気の温度差が主な要因となって屈折率が変化し、気流が可視化されています。
つまり、①は物質の違い、②は温度の違いが主な原因となっているという事なんですね!
このようなシュリーレン撮影法は現在、流体力学の研究や工業の分野で用いられています。
具体的には、ノズルから噴出する高速流の衝撃波を可視化したり、各種製品が正常に気流を制御できているかのテストに使われたりしています。
今回は工業的なシーンで利用されているシュリーレン撮影法についてご紹介しました。是非みなさんも実験してみて流体のフシギに触れてみてください!
NOBBY TECH、シュリーレン装置
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