LED(Light Emitting Diode)は電流を流すことにより発光する電気部品です。発光ダイオードとも呼ばれています。2014年のノーベル物理学賞を受賞した名城大学の赤﨑勇教授、名古屋大学の天野浩教授、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授が明るく光る青色LEDを発明したことによって光の三原色(赤、緑、青)が揃い、LEDでほぼすべての色の光を作ることができるようになりました。
この実験では、図1のようなフルカラーLEDを用いて、いろいろな色の光を作る方法を紹介します。
フルカラーLEDには、それぞれ赤、緑、青で発光する半導体の小さな板(LEDチップ)が入っており、それぞれのLEDチップに流す電流の大きさを変えてそれぞれの色の光の強度を変え、3色の混合割合を変えることによって、発光色を変化させることができます。
図1のフルカラーLEDには端子が4本付いています。1番長い端子は3つのLEDチップすべてに繋がっている共通端子です。他の端子は3つのLEDチップに1本ずつ繋がっています。フルカラーLEDには、共通端子が陽極(アノード)のタイプと陰極(カソード)のタイプがあり、前者をアノードコモンタイプ、後者をカソードコモンタイプと呼びます。この実験で紹介する電気回路は、共通端子のタイプによって配線が異なります。みなさんが実際に使うフルカラーLEDがどちらのタイプであるかは、メーカーのデータシートなどで確認することができます。
図1のLEDの樹脂部分は白く濁っています。これは、LEDチップから出てくる光を拡散して3つの色を混ざりやすくする拡散剤が入っているためです。樹脂部分が無色透明なフルカラーLEDも市販されていますが、3色が混ざりにくいので、この実験では樹脂部分が白いものを使用します。
LEDは静電気に弱いので、LEDに触る前に金属に触るなどの対策を行いましょう。また、端子の根元部分に力が加わらないように気をつけましょう。
回路内での役割に応じて可変抵抗器と半固定抵抗器を区別してリストアップしていますが、半固定抵抗器で可変抵抗器を代用しても構いませんし、逆に可変抵抗器で半固定抵抗器を代用しても構いません。この原稿を執筆する際に回路を試作した際は、可変抵抗器を使わずに半固定抵抗器を6個使いました。
LEDの光は、真上からではなく、斜め上方から見るようにしましょう。眩しいと感じたら見つめてはいけません。
この実験では、乾電池と電気抵抗を組み合わせた単純な電源回路でフルカラーLEDを駆動します。使用するフルカラーLEDがアノードコモンタイプの場合は図2の回路を、カソードコモンタイプの場合は図3の回路を組んでください。乾電池はまだ接続しないでおきます。なお、回路図中のT1~T3は500Ωの半固定抵抗器、VR1~VR3は500Ωの可変抵抗器、R1~R3は470Ωの固定抵抗器、LED1~LED3はフルカラーLEDに入っている3つのLEDチップを表します。
回路が正しく組みあがったら、乾電池を接続して以下の調整を行います。
VR1~VR3とT1~T3をすべて0Ωにする。
T1の抵抗値を大きくしていき、LED1がぎりぎり点灯しない値に設定する。
VR1の抵抗値を変化させ、LED1の明るさが変化することを確認する。
VR1を0ΩにしてLED1を消灯する。
T2の抵抗値を大きくしていき、LED2がぎりぎり点灯しない値に設定する。
VR2の抵抗値を変化させ、LED2の明るさが変化することを確認する。
VR2を0ΩにしてLED2を消灯する。
T3の抵抗値を大きくしていき、LED3がぎりぎり点灯しない値に設定する。
VR3の抵抗値を変化させ、LED3の明るさが変化することを確認する。
VR3を0ΩにしてLED3を消灯する。
これで準備は整いました。VR1~VR3の抵抗値を変化させて、いろいろな色の光を作ってみましょう。思い通りの色は作れるでしょうか。
この実験で紹介した回路では、LEDが光っていない状態でも回路に電流が流れており電気を消費します。使わないときは電池を外しておきましょう。
LEDの光が眩しすぎる場合は、R1~R3の固定抵抗器を、より大きな抵抗値の固定抵抗器に替えてください。各LEDチップの明るさを抑えることができます。逆に、抵抗値が小さな固定抵抗器に替えると明るくなりますが、小さくしすぎると大きな電流が流れてLEDが壊れます。ご注意ください。
VR1~VR3を0ΩにしてもLEDが点灯してしまう場合や、VR1~VR3を0Ωから大きくしていってもなかなかLEDが光り始めない場合は、もう一度回路の調整を行ってください。
ブレッドボードを使わずにプリント基板とはんだを使って回路を組むことも可能ですが、はんだを使用する際はやけどにご注意ください。また、LEDは熱に弱いので、はんだ付けは素早く行ってください。
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