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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

手作りカメラで写真を撮ってみよう

2020年3月13日
福井大学工学部応用物理学科 物理博物館

はじめに

 今や、身近な存在となった「カメラ」。いつでもどこでも写真が撮れてとても便利ですよね。ですが、すこし昔までは今ほど小さくなく、すぐに写真を作ることはできませんでした。

今回はちょっと時代をさかのぼって、レンズを使った箱カメラを作ってみましょう!

カメラの仕組み

凸レンズに光を通すと、光は一点の位置に集まります。凸レンズに入る光が平行なとき、この集まる位置を焦点といいます(このときのレンズから焦点までの距離を焦点距離といいます)。そして、焦点距離よりも離れたところから光がレンズを通ってスクリーンにあたると、スクリーンには上下左右が反転した像が映ります(これを実像といいます)。この像はスクリーンがちょうど光の集まる位置に来ると最も鮮明に映ります。今回はこのスクリーンに、光に反応する塗料が塗られた感光紙を貼って景色を紙に映そうと思います。

図1

準備するもの

  • 小さい段ボール箱(写真は20cm ×15cm ×10cmの物を使用)
  • フレネルレンズ(薄いシート状のレンズ。拡大鏡として100円均一に売っていることもあります)
  • 黒画用紙
  • 感光紙(いろいろなものが売っていますが、アイロンで現像するものが最も安全です)
  • トレーシングペーパー
  • 防食テープ(黒のビニールテープは△)
  • セロテープ
  • カッター
  • コンパス
  • ボールペン

カメラの作り方

  1. ぞき穴をあけます
    段ボールの前面をフレネルレンズの大きさに合わせて切り取り、後面の中心にのぞき穴をあけます。
  2. 図のように切り取ります
    段ボールの前面,後面の下の部分を図のように切り取ります。切り取った部分はまた後で使うため取っておきましょう。
  3. 防食テープで止めます
    段ボールの中に光が漏れないように底面をA→Bの順番で防食テープで止めます。ビニールテープは光を微妙に通してしまうので、防食テープを使うことをおすすめします。
  4. フレネルレンズを貼ります
    段ボールの前面にあけたレンズ窓に内側からフレネルレンズを貼ります。
  5. 中を黒画用紙で覆います
    箱の中で光が反射してしまうのを防ぐために、中を黒画用紙で覆います(黒のマーカーで塗ってもOK)
  6. 2種類のスタンドを作ります
    ②で切り取った段ボール片のうち一つに四角形の穴をあけ、トレーシングペーパーを貼ってから黒画用紙で覆い、2種類のスタンドを作ります。このとき、黒画用紙を段ボール片より大きくすると、端を折ったときに立ちやすくなります
  7. レンズの蓋を作れば完成
    最後にカメラの前面に黒画用紙でレンズの蓋を作れば完成!

完成品はこのような感じです。

完成品はこのような感じです
  • カメラ本体
  • スクリーン
  • 感光紙をセットする台紙

カメラの使い方

  1. ピントを合わせます
    カメラにスクリーンを入れて、被写体にカメラを向けながら、穴を覗いてスクリーンの位置を前後させてピントを合わせます。
  2. スクリーンの位置に目印をつけておきます
    ピントが合ったところで、そのスクリーンの位置に目印をつけておきます。このピントはカメラと被写体との距離や、レンズによってまちまちなので、今後使うためにも省スペースでなるべくはっきりと書くといいでしょう。
  3. 台紙をセット
    感光紙が感光しないように暗室で台紙に貼り、向きに注意して②でつけた目印の位置に台紙をセットします。そして、撮影が終わるまでレンズと箱の蓋は閉めておきます。
  4. 被写体にカメラを向けて固定し、数十分放置します。感光に必要な時間は感光紙の種類、場所や天気によってまちまちなので、適切な時間を見つけてみてください。(参考 屋外,晴れ:約10分、屋外,曇り:約20分)

  5. 感光紙を適切な方法で現像すれば写真は完成
    撮影終了後、感光紙を適切な方法で現像すれば写真は完成!感光紙の種類によって異なる色調の写真が撮れます。

最後に

今回作ったカメラには標準的な機能しか備わっていません。

しぼりをつけたり、レンズを付け加えたりと色々な工夫を施すと、様々な機能が拡張され、多様な写真が撮れるようになります。

ぜひ試してみてください。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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