トップページ > おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界) > 半透明な写真を撮ってみよう

おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

半透明な写真を撮ってみよう

2024年2月2日
愛媛大学 工学部工学科
電気電子工学コース

はじめに

 デジタルカメラを使ったおもしろい撮影方法を紹介します。カメラのしくみが分かれば、下のような半透明な写真を撮影することができます。もちろん、これは合成写真ではありません。市販の一般的なデジカメを使って、ワンショットで撮影しています。ぜひ、カメラの原理を理解して、みなさんも半透明な写真を撮影してみてください。

デジタルカメラの撮影の原理

 デジタルカメラの撮影の原理について簡単に説明します。デジタルカメラでは、被写体からの光は、レンズ使って集められ撮像素子で感知されます。一般的な撮像素子には、CMOSセンサーまたはCCDセンサーがあります。例えば、CMOSセンサーは低い電力消費と高い処理速度が特徴で、CCDセンサーは高い画質と感度を持っています。

 実際の撮影では、シャッターボタンを押すことで、レンズが開いて一瞬の間、撮像素子が光を受け取ります。このとき、撮像素子は光を受けとり、それらを電気信号に変換します。撮像素子は何百万もの画素(ピクセル)を持っており、ひとつひとつの画素が光の明るさと色情報を取り込みます。そのため、撮像素子が多くのピクセルを持つほど、撮影した写真は鮮明で詳細なものになります。一方、撮像素子が光を受け取ることで発生した電気信号はデジタルデータとなり、画像処理装置に送られ、最終的にはメモリーカードなどに保存されます。

用意するもの

  • デジタルカメラ
  • 三脚

半透明な写真を撮ってみよう

 半透明な写真は、下図のように「人物と背景」が映っている画像と「背景のみ」が映っている画像を合成することで作成できます。

 では、1度の撮影でどうすれば、合成できるでしょうか?答えは簡単で、シャッターが開いて人物を撮影している間に、人物が撮影場所からいなくなれば、「人物と背景」と「背景のみ」の両方の画像を得ることができます。しかし、通常、カメラで撮影するとき、シャッターが開いている時間は、0.01秒くらいです。人物が0.001秒くらいのスピードで移動できれば可能ですが、残念ながら、そんなことができる人はいません。では、どうすればできるかというと、シャッターを開いている時間(シャッタースピード)を長くすれば良いのです。

 デジカメによっては、シャッタースピードを自由に設定できる機種もありますが、一般的なデジカメでは、シャッタースピードを設定できない場合も多いです。ただし、シャッタースピードを設定する項目がない場合でも、撮影モードを「花火」にするとシャッタースピードを遅くすることができます。機種にもよりますが、花火モードにするとシャッタースピードは5秒ぐらいになります。

 シャッターが開いている撮影時間が5秒くらいになると、撮影中に人も移動できます。例えば、5秒のうち、半分だけカメラの前に立ち、もう半分はフレームアウトすることで、「人物と背景」が映っている画像と「背景のみ」が映っている画像を実現できます。実際に撮影している様子と、撮影された写真は下図のようになります。

 このとき、注意しないといけないことは、撮影中に被写体が動くとブレた写真になるので、カメラに写っている間は、動かないようにすることです。あと、カメラを手で持って撮影すると、シャッターを押したときや撮影中に手ブレが発生するので、三脚とタイマー機能を使って、手ブレが生じないように撮影してください。また、シャッタースピードが5秒くらい遅くなると、明るい部屋で撮影すると、撮像素子に入る光量が多過ぎるため、写真は真っ白になります。そのため、半透明の写真を撮るときは、部屋を暗くして撮影してください。

注意事項

  • カメラに写っている間は動かない
  • 三脚を使う
  • タイマー機能を使う
  • 暗い部屋で撮影する

 カメラによっては、シャッタースピードを10秒くらいに設定することもできます。下の写真は別のカメラで撮影したものですが、10秒くらいあると時間に余裕をもって移動できるので、全身が半透明な写真を撮ることもできます。

 半透明な写真撮影は、ほとんどのカメラでできますので、ぜひ、みなさんもおうちのデジカメで撮影に挑戦してみてください。

  • ※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

関連記事

2014-02-25

おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

レンズカメラを作ろう

山口大学工学部

2020-11-20

おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

ほこりチェッカー・煙を見てみよう

大分大学理工学部

2023-03-09

なんでも探検隊

高速LPWA通信で定置網の中を可視化

東京海洋大学海洋工学部

2014-08-05

生レポート!卒業生の声

もの作りが好きな皆さんへ

和歌山大学システム工学部

2024-10-11

Pict-Labo

農業ロボティクスにおける画像処理技術

福井大学工学部

2022-09-30

Pict-Labo

イメージセンサを用いた可視光通信

東京農工大学工学部

愛媛大学
工学部

  • 機械工学コース・知能システム学コース
  • 社会基盤工学コース・社会デザインコース
  • 材料デザイン工学コース
  • 化学・生命科学コース
  • 電気電子工学コース
  • コンピュータ科学コース・応用情報工学コース・デジタル情報人材育成特別プログラム

学校記事一覧

おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)
バックナンバー

このサイトは、国立大学56工学系学部長会議が運営しています。
(>>会員用ページ)
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。
これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。