デジタルカメラを使ったおもしろい撮影方法を紹介します。カメラのしくみが分かれば、下のような半透明な写真を撮影することができます。もちろん、これは合成写真ではありません。市販の一般的なデジカメを使って、ワンショットで撮影しています。ぜひ、カメラの原理を理解して、みなさんも半透明な写真を撮影してみてください。
デジタルカメラの撮影の原理について簡単に説明します。デジタルカメラでは、被写体からの光は、レンズ使って集められ撮像素子で感知されます。一般的な撮像素子には、CMOSセンサーまたはCCDセンサーがあります。例えば、CMOSセンサーは低い電力消費と高い処理速度が特徴で、CCDセンサーは高い画質と感度を持っています。
実際の撮影では、シャッターボタンを押すことで、レンズが開いて一瞬の間、撮像素子が光を受け取ります。このとき、撮像素子は光を受けとり、それらを電気信号に変換します。撮像素子は何百万もの画素(ピクセル)を持っており、ひとつひとつの画素が光の明るさと色情報を取り込みます。そのため、撮像素子が多くのピクセルを持つほど、撮影した写真は鮮明で詳細なものになります。一方、撮像素子が光を受け取ることで発生した電気信号はデジタルデータとなり、画像処理装置に送られ、最終的にはメモリーカードなどに保存されます。
半透明な写真は、下図のように「人物と背景」が映っている画像と「背景のみ」が映っている画像を合成することで作成できます。
では、1度の撮影でどうすれば、合成できるでしょうか?答えは簡単で、シャッターが開いて人物を撮影している間に、人物が撮影場所からいなくなれば、「人物と背景」と「背景のみ」の両方の画像を得ることができます。しかし、通常、カメラで撮影するとき、シャッターが開いている時間は、0.01秒くらいです。人物が0.001秒くらいのスピードで移動できれば可能ですが、残念ながら、そんなことができる人はいません。では、どうすればできるかというと、シャッターを開いている時間(シャッタースピード)を長くすれば良いのです。
デジカメによっては、シャッタースピードを自由に設定できる機種もありますが、一般的なデジカメでは、シャッタースピードを設定できない場合も多いです。ただし、シャッタースピードを設定する項目がない場合でも、撮影モードを「花火」にするとシャッタースピードを遅くすることができます。機種にもよりますが、花火モードにするとシャッタースピードは5秒ぐらいになります。
シャッターが開いている撮影時間が5秒くらいになると、撮影中に人も移動できます。例えば、5秒のうち、半分だけカメラの前に立ち、もう半分はフレームアウトすることで、「人物と背景」が映っている画像と「背景のみ」が映っている画像を実現できます。実際に撮影している様子と、撮影された写真は下図のようになります。
このとき、注意しないといけないことは、撮影中に被写体が動くとブレた写真になるので、カメラに写っている間は、動かないようにすることです。あと、カメラを手で持って撮影すると、シャッターを押したときや撮影中に手ブレが発生するので、三脚とタイマー機能を使って、手ブレが生じないように撮影してください。また、シャッタースピードが5秒くらい遅くなると、明るい部屋で撮影すると、撮像素子に入る光量が多過ぎるため、写真は真っ白になります。そのため、半透明の写真を撮るときは、部屋を暗くして撮影してください。
カメラによっては、シャッタースピードを10秒くらいに設定することもできます。下の写真は別のカメラで撮影したものですが、10秒くらいあると時間に余裕をもって移動できるので、全身が半透明な写真を撮ることもできます。
半透明な写真撮影は、ほとんどのカメラでできますので、ぜひ、みなさんもおうちのデジカメで撮影に挑戦してみてください。
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