はじめに
船や航空機といった大きな構造物は、いろいろな力を受けつつも、壊れずに動いて、人・物を運んでいます。しかも、軽い方が望ましいため、力を受けても壊れないように、構造が工夫されています。例えば、貨物船などは長さ(船長)200m程度は有にありますが、使用されている材料(主に鉄)の厚さは2 cm=0.02m 程度です。薄い板で大きな構造物を製作していることになります。薄い板で大量の物を運べる構造を成立させるために、下図のような補強材を有する構造となっています。ここでは、この構造に関する実験について紹介したいと思います。
用意するもの
- 発泡スチロール
- 両面テープ
- ペットボトル(500ml を4つほど)
- カッター(もしくはヒートーカッター)
つくりかた
発泡スチロールと両面テープを用いて、写真に示すような構造模型を作成していきます。
- 図面を準備します。
図面に基づき、発泡スチロールを切り出していきます。
発泡スチロールは、ホームセンターで入手できます。
-
右の写真は、図面に基づき製作した、3枚の発泡スチロール板です。
板の厚さは約4mm です。
-
右の写真は、図面に基づき製作した、切り込みを有する発泡スチロール板です。
板の厚さは約4mmです。
-
切り込みを有する発泡スチロール板を組み合わせいきます。
切り込み同士を差し込んでいきます。
右の写真は、その途中です。
-
切り込みを有する発泡スチロール板を組み合わせいきます。
最終的には、右の写真の上のような構造になります。ここでは、これを補強材と呼ぶことにします。
-
製作した補強材の上部分に両面テープを貼り付けています。
右の写真はその様子を示しています。
-
両面テープを貼り付けた補強材を板にしっかりと張りつます。
右の写真はその様子を示しています。
(両面テープは、溶接に対応しています。)
実験方法
今、手元には、2枚の板、補強材を有する板1つ、があると思います。この3つを使って重さを与える実験を行います。
-
台座を準備します。(今回は発泡スチロールを用いていますが、台座になるものであればなんでもいいです。)
台座の間隔は400mm程度です。
台座の上に製作した発泡スチロール板1枚をおきます。
-
台座の上に置いた発泡スチロール板の上に重しを載せます。今回は500mlペットボトルです。
写真に示すように、板は底についてしまうと思います。
-
今度は、台座の上に製作した発泡スチロールの板を2枚載せます。
-
台座の上に置いた発泡スチロール板の上に重しを載せます。今回は500mlペットボトルです。
発泡スチロール板2枚でも、写真に示すように、板は底についてしまうと思います。
-
今度は、台座の上に製作した発泡スチロール製の補強材を有する板を載せます。
なお、補強材を有する板の材料の量は、発泡スチロール板2枚とほぼ同じです。
-
台座の上に置いた補強材を有する板の上に重しを1つ載せます。
写真に示すように、補強材を有する板は重しを支えることができると思います。
-
さらに、補強材を有する板の上に重しを2つ載せます。
重しを2つ載せても、写真に示すように、補強材を有する板は重しを支えることができると思います。
(3つ目以降はどうなるかは、ご想像にお任せします。)
もっと知りたい人へ
今回は、発泡スチロールを用いた、補強材を有する板の製作とその実験を説明しました。発泡スチロールではなく、紙でも同様なことが行えます。船や航空機といった大きな動く構造物は、軽量化のために構造が工夫されています。鉄道車両や橋梁などでもここで示したような構造の工夫がなされています。
船や航空機といった大きな動く構造物の開発では、試作を行うことが大変難しいです。物が大きいため、試作するだけで大きな予算が必要となります。そこで、計算機(パソコン)を用いたシミュレーションが大変大事となってきます。構造物のシミュレーションには、主に有限要素法と呼ばれる方法が活用されます。リアルな現象とそれをシミュレーションする世界に興味のある人は、ぜひ、大学で学んでください。
※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。