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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

パスタで橋の強さを調べてみよう!

2019年9月13日
茨城大学大学院 理工学研究科
都市システム工学専攻 車谷 麻緒

はじめに

「橋」を知らない人はいないと思います。川や海を渡って、向こう側に行くときに必要な構造物です。川や海の上だけではありません。道路の上を人が通行できるようにした歩道橋や、線路の上を車が通行できるようにした高架橋も橋のひとつです。橋は、私たちの生活になくてはならないものです。もし、橋が落ちると大変なことが起きてしまいます。橋はとても大きなものなので、実物を使った実験ができません。小さな模型をつくって、実験してみるしかありません。そこで、みなさんが普段よく食べているパスタを使って、簡単に橋の強さを調べる実験を紹介します。 (パスタは食べ物なので大事に使いましょう)

図1図1
図2図2

用意するもの

    パスタ橋の製作
  1. 乾燥パスタ(スパゲッティタイプ)
  2. グル―スティック(棒のり)
  3. グルーガン
  4. 強さを測る実験
  5. 橋を架ける両岸になるもの
  6. 重りを吊るすための糸や紐
  7. 力を均等に伝えるための板
  8. 重りを載せるためのバケツ
  9. 橋の強さを測るための重り

①~③は図1のようなもので、すべて100円ショップで売られており、合計500円未満で買えます。①は細すぎると作りにくいかもしれません。③は②を装着して、コンセントに接続して使用します。熱くなるので、火傷に注意しましょう。
④~⑧は、橋の強さを調べる実験で使います。図2のようにして実験するので、同じような実験ができれば④~⑧は何を使っても大丈夫です。④は、同じ高さのイスや机があるとすぐできます。ただし、軽すぎると、重りを載せたときに傾いたり動いたりしてしまいます。⑥の板は、重りによる力を均等にパスタ橋に伝えるために必要です。⑦のバケツに⑧の重りを入れていき、橋の強さを調べます。重りには何を使ってもよいですが、どれぐらいの重さまで耐えられたかがわかるように、ある程度の重さがあって、たくさん準備できるものが適しています。たとえば、砂や土、砂利、水などが簡単に手に入りそうです。

つくりかた

図3のように、三角形を3つ組み合わせたトラス橋を作ります。三角形を組み合わせた構造をトラスといい、橋のかたちとしてよく用いられます。橋の構造や橋の強さを詳しく知るために、図3図4ような2種類のパスタ橋Aとパスタ橋Bを作って実験を行います。

図3(パスタ橋A)図3(パスタ橋A)
図4(パスタ橋B)図4(パスタ橋B)
  1. 図5図5

    図3のパスタ橋Aから作ります。まず準備として、パスタで橋の骨組(骨格)を作っていきます。骨組の一本一本を「部材」といいます。パスタ1本では弱すぎるので、図5のように数本束ねて部材にします。束ねた後に、ばらばらにならないように、数カ所に糊付けします。長さ(寸法)は、パスタ1本の長さが橋の長さになるようにします。

  2. 図6図6

    最初に、図6のように橋の底面を作ります。最終的に重りを吊り下げて強さを測る実験を行うので、重りを吊り下げられるように、中央部分を図6のように補強しておきます。補強する部分の長さは、道具⑥の長さに合わせます。

  3. 図7図7

    次に、トラスを作っていきます。図7のように、手前と奥に三角形をつくり、頂点でそれらをつなぎ合わせます。

  4. 図8図8

    同じように、もう一方の三角形を作り、図8のようにそれらを連結すれば完成です。

  5. 図9図9

    もうひとつ同じものを作った後、今度は図9のように、上面・左面・右面に斜めの部材を入れれば、パスタ橋Bの完成です。

実験方法

作製したパスタ橋Aとパスタ橋Bがどれぐらいの重さに耐えられるかの実験を行い、橋の構造や橋の強さを調べます。

  1. 図10図10

    図10のように、橋を架けるための両岸(道具④)を準備し、作製したパスタ橋Aを架けます。

  2. 図10のように、中央部分に糸(道具⑤)をかけて、糸とパスタ橋の間に板(道具⑥)をはさみます。この板は、重りによる力を均等にパスタ橋に伝えるために必要です。かけた糸に、重りを載せるためのバケツ(道具⑦)を通して結びます。

  3. 重りを載せる準備ができたら、重り(道具⑧)を少しずつ載せていきます。重りを載せていけば、あるところでパスタ橋が壊れます。重りが何kgのときに壊れたかを調べることも大事ですが、パスタ橋がどのように変形して、どの部材が最初に壊れたかを観察することも大事です。パスタ橋が壊れるまでの様子を動画で撮影しておくと、後で実験の様子を観察できて便利です。

  4. 今度は斜めの部材を入れたパスタ橋Bに対して、同様の実験をやってみましょう。斜めの部材があるおかげで、先ほどよりも多くの重りに耐えられると思います。それだけでなく、パスタ橋の変形の仕方や壊れ方が先ほどと異なることが観察できると思います。その違いから、なぜ斜めの部材があった方が強い橋になるのか、橋はどのような変形に弱いのかがわかるかもしれません。

もっと知りたい人へ

なるべくパスタの使用量を少なくして、強い橋にするには、どうすればよいでしょうか。パスタのような細長いものは、曲げると簡単に壊れてしまいます。図11のように、パスタを引っ張るだけでは曲がりませんが、縮ませようとすると簡単に曲がって壊れてしまいます。ということは、パスタ橋の変形を考えて、圧縮の力が働いて縮もうとする部材を太くすれば、パスタ橋全体が強くなると考えられます。あるいは、上で行った実験を思い出して、大きく曲がった部材や、最初に壊れた部材を太くすれば、より強いパスタ橋になるでしょう。また、身近にある橋や、様々な形の橋をパスタで作ってみて、その橋の強さや変形の仕方を調べてみるのも面白いと思います。夏休みの自由研究にしてみてはどうでしょう。

図11図11
※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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