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パケット渋滞回避のためのインターネット輻輳(ふくそう)制御アルゴリズム

2024年12月20日
福島大学 ネットワークシステム
内海 哲史

 みなさんは、インターネットでのデータ送受信がどのように実現されているかご存じでしょうか。YouTube, Netflix, LINEといったアプリにおいて、データの送り手となるサーバは、データをパケットという小さな単位に分けて、送信します。データの受け手である、みなさんのスマートフォンやパソコンは、そのパケットに載ったデータをまとめ、意味のあるものとします。

 さて、インターネットは、サーバとスマートフォン、パソコンの他に、ルータや、無線や有線の回線によって構成されています。回線には、単位時間あたりに送信できるパケット数(あるいは、データ量)の限界となる回線速度をもちます。では、パケットの入力速度が、回線速度を超過したときにはどうなるでしょうか。回線が接続されたルータのメモリ上に、パケットの待ち行列が形成されます。パケットの待ち行列が非常に長くなると、前方のパケットの転送待ち時間がとても増大します。これは、オンラインゲームや、ビデオ会議システムのような、リアルタイム性を要求するアプリケーションにおいては致命的です。

 パケットの待ち行列が形成されることや、その結果、パケットを貯蔵するメモリ(バッファという)から最後尾のパケットがあふれ、廃棄されることを、輻輳(ふくそう)といいます。福島大学理工学群共生システム理工学類では、インターネットにおいてこのパケット渋滞を回避するための、輻輳制御アルゴリズムの開発に取り組んでいます。輻輳制御アルゴリズムは、基本的に、サーバ、スマートフォン、パソコンといった末端のデバイス(端末という)において実現されます。動画として、初期型の輻輳制御アルゴリズムの挙動をアニメーションで示します。(動画は、福島大学・清水 尊翔 氏が、ns-2とnamをもちいて作成しました。)アニメーションにおける輻輳制御アルゴリズムは、ルータのバッファからパケットがあふれ、それに起因するパケット廃棄を端末が検出すると、データの送り手であるその端末はパケットの入力を減速し、輻輳を軽減します。

 福島大学では、より低遅延・より高効率な輻輳制御アルゴリズムの開発を続け、インターネットのさらなる発展に貢献していきます。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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