空間を介して離れた場所へ情報やエネルギーを伝える技をワイヤレス技術と呼びます。歴史的に見るとワイヤレス技術の民生応用は20世紀半ばラジオやテレビなどの「放送」から始まりました。21世紀になり携帯電話、スマートフォン、WiFiなどの「通信」がそれに続きました。そして近年、放送・通信に続く第3の矢として「電力伝送」への要望が急速に浮上してきました。放送や通信の目的は情報を伝えることであるのに対して、電力伝送はエネルギーを伝えることが目的です。したがって、送ったエネルギーの何パーセントが受け手側に届くのかという電力効率が重視されます。ワイヤレス電力伝送の研究開発現場では電力効率をどのようにして高めるかということにしのぎを削っています。ワイヤレス電力伝送が実現すると、さまざまな電力機器の利用シーンが大きく広がります。例えばドローンです。ドローンは陸海空での撮影や物品搬送での活用が期待されています。しかしながら、ドローンは搭載できるバッテリー量が限られていることから、一定時間飛行すると、一旦着陸して充電またはバッテリーを交換する必要があります。現在はこの作業を人手で行っています。すなわち、人が近くにいる範囲でしか飛行できません。そこで、もし無人で自動的にドローンに充電できるステーションが開発できればこの問題が解決できます。ドローンがステーションに着陸すると自動的に充電が始まるという仕組みです。自動充電ステーションにより、人が容易に立ち入れない場所、例えば険しい山岳地などでのドローン飛行が可能になります。つまりドローンの活躍範囲が大きく広がるのです。豊橋技術科学大学では東京電力等と共同でドローン無人充電ステーションの開発を進めています。写真は豊橋技術科学大学波動工学研究室での実験の様子です。ワイヤレス電力伝送技術を用いてドローンだけでなく、電気自動車へ走行中給電する実験も行っています。
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