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2024年度、本学では学部1年生を対象とした新設科目「リベラルアーツ入門」を開講しました。本講義の最大の特徴は、従来のオムニバス形式(教員が週替わりで登壇する形式)を排し、文系・理工系の異なる専門を持つ複数の教員が同時に教壇に立つ「異分野協同型」の対話形式を採用している点です。一クラス20名以下という徹底した少人数制で実施することも重要な特徴です。専門分野の「入り口」に立ったばかりの存在である彼らの「特定の領域に固執しない柔軟な思考」を最大の強みと捉え、答えのない課題に対して多様な知を動員して解決策を模索する姿勢を涵養することを目的とした講義です。
例えば、筆者が担当した「リベラルアーツ入門bクラス」では、共通キーワードとして「つくる」を設定しました。担当教員は、物理学・化学の工学系教員に加え、国文学、社会科学、英語を専門とする責任教員とゲスト教員の計5名の構成で取り組みました。筆者はその中で、工学部の学生にとって親和性の高い「分子をつくる」というテーマを提示しました。具体例として「水」を取り上げ、その単純な構造に反して極めて特殊な物性(水の特異性)を持つ要因について、分子模型を用いたグループワークを実施しました。 学生たちは、模型を手で動かしながら分子の形状や大きさ、分子間の相互作用を可視化することで、目的の物性を得るためにどのような分子構造を設計すべきかという「創造的アプローチ」を体験することができます。座学による知識の受容に留まらず、自らの手と思考で原理に迫る思考プロセスを学ぶことができます。
この講義の特徴として、学生が議論する傍らで、異なる専門を持つゲスト教員が随時助言を投じる点にあります。分子の構造に関する議論に対し、例えば、社会科学、あるいは国文学の視点からといった異分野からの視点での意見もあることを学びます。「分子をつくる」というミクロな視点から始まり、「俳句をつくる」「法律をつくる」など、担当教員を変えながら多様な「つくる」を体験します。これにより、急激な科学技術の進歩や価値観の多様化に直面する現代において、技術者に求められるのは単なる専門知識ではなく、分野の境界を越えて対話し、新たな価値を創造できる柔軟性であると考えられます。本講義での試行錯誤が、次世代を担う技術者たちの育成に役立つと期待したいです。
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