トップページ > なんでも探検隊 > 不確かなシステムの制御 -環境に適応する制御システムの実現を目指して-

なんでも探検隊

不確かなシステムの制御
-環境に適応する制御システムの実現を目指して-

2019年2月8日
熊本大学 工学部

制御技術は、対象(システム)に働きかけて、対象の所望の状態を実現するための技術です。エアコンは、部屋(対象)の温度を設定温度(所望状態)に近づけるために、コンプレッサーの動作を常に調整していますが、この働きを実現しているのが制御技術の身近な例です。制御技術は、直接目にすることは少ないですが、あらゆる分野で使われてる分野横断的な技術です。ロボット、ドローン、自動車などは制御技術のかたまりと言っても過言ではありませんし、工場やプラントなども制御技術無しでは稼働しません。

 対象を制御するために用いられる制御手法は、フィードフォワード制御とフィードバック制御の二種類に大別されます。御飯を美味しく炊くために、炊飯器は、あらかじめ決められた温度まで加熱し、また決められた時間ごとに温度を切り替えていきます。このように、あらかじめ決められた手順で対象に働きかける制御がフィードフォワード制御です。これに対して、エアコンでは、室内の温度をセンサーで検出し、設定温度との差に基づいてコンプレッサーの動作を調整しています。このように、制御したい量や制御対象の状態を観測しながら、働きかけを決定していく制御がフィードバック制御です。

 どちらの制御手法を用いるにしても、性能の良い制御システムを構成するには、制御対象の特性-ある状態から次にどのような状態に変化していくのか、ある働きかけをしたときどのような変化が起こるのか-を把握することが必要です。しかし、一般に、ある制御対象の特性を十分に把握するには、多くの実験が必要となり、長い時間と多大の労力がかかります。このため制御対象に関する知識に多少の不確かさがあっても問題なく動作する制御システム(制御技術の言葉では、ロバスト(頑健)な制御と言います)で、対象の特性を自動的に把握して制御を実現するスマート(知的)な制御システムが実現できれば理想的です。

 熊本大学大学院先端科学研究部ロボット・制御・計測分野では、不確かな対象に対して適応的に制御システムを構築する適応制御手法の研究・開発に取り組んでいます。適応とは、一般には、「生物の形態・習性などの形質が、環境の変化に応じて、その環境で生活・繁殖するのに適合するために変化する」ことを云います。適応制御は、「制御対象の特性変動や不確かさ(環境の変化)に応じて制御器(コントローラ)を自動調整し、制御対象の不確かさの如何に拘らず、常に望ましい特性を達成する」ことを目的とした制御手法です(図1)。この適応制御手法の理論的な研究とその実システムへの応用に取り組んでおり、最近では、提案した適応制御手法を用いた大型クレーンの制御や自動車エンジンの燃焼制御システムの開発を行っています。近年、ビッグデータの重要性やAIの活用が注目されていますが、これらの技術と適応制御手法とを融合させたスマート制御システム(図2)の構築に取り組んでおり、制御技術の高機能化・知能化による色々なシステムのスマート化を目指しています。

図1 適応制御図1 適応制御
図2 スマート制御システム図2 スマート制御システム
※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

関連記事

2019-01-18

環境への取り組み

土壌中の重金属を効率的に抽出できる装置の開発

高知大学理工学部

2018-01-19

生レポート!大学教授の声

『制御』って本当に面白い

広島大学工学部

2018-04-12

環境への取り組み

微生物による発電で水環境保全

群馬大学理工学部

2016-12-21

おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

色変わりCDコマを作ってみよう!

長岡技術科学大学工学部

2017-09-29

環境への取り組み

いきものが棲みやすい川づくり

山口大学工学部

2017-11-02

生レポート!現役学生の声

進むべき道

香川大学創造工学部

熊本大学
工学部

  • 土木建築学科
  • 数理機械工学科
  • 情報電気電子工学科
  • 材料・応用化学科

学校記事一覧

なんでも探検隊
バックナンバー

このサイトは、国立大学56工学系学部長会議が運営しています。
(>>会員用ページ)
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。
これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。