不整地・軟弱地盤を移動することをテーマに 目指すは、月面探査! |
月の表面がどのようになっているか、みなさんご存知ですか?
信州大学繊維学部 機械・ロボット学系 機能機械学課程の飯塚研究室では、“月面探査ロボット”を対象とした研究を行っています。月表面は、レゴリスと呼ばれる細かい砂で覆われているため、自律走行可能な移動型ロボット(ローバ)の車輪運動によるスリップ及び沈下現象が発生し走行不能、つまりスタックが起こる可能性が高いのです。大型の車輪であればその重量によって砂が締め固められ、走行に必要な推力を得ることができますが、小型軽量ローバでは滑りが顕著となり走行することが困難です。しかし、ロケットのペイロードの積載条件が厳しいため大型のローバを月面まで運搬することは難しく、小型軽量ローバであることが必須となります。
月惑星探査ロボット用の車輪は、金属系の材料で作られています。そのような車輪が軟弱地盤で走行すると、砂中に埋まってしまいます。
そこで考えたのが、小型軽量ローバ用弾性車輪です。この弾性車輪を搭載した小型軽量ローバは、砂地盤においても十分な走行性能を発揮することができることを実際の走行実験により証明しました。
弾性車輪が有効なのは、軽量ローバであっても変形することができ、地盤との接地状態が変化し、砂地盤から推力を得ることができるということが大きな理由です。また、弾性車輪+デファレンシャルギアによるサスペンションの組み合わせによって、高い段差乗り越え能力を有することについても実験的に証明するに至りました。
小型軽量ローバ用弾性車輪の走行実験。
飯塚研究室で対象としているのは、不整地や軟弱地盤。月面はその対象の一つですが、今後は生物保護のために必要な"干潟"やレスキューのための"雪上"、農産物のための"畑や水田"についても研究分野を広げて検討していく予定です。
キーワードは軟弱地盤ですが、固定概念にとらわれず、人の役に立つ画期的なロボット及びロボットシステム開発を行っていきます。
弾性車輪+デファレンシャルギアによるサスペンションの組み合わせ
掲載大学 学部 |
信州大学 繊維学部 | 信州大学 繊維学部のページへ>> |
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |