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環境への取り組み

材料・応用化学科における環境ISOへの取り組み

九州地区

2020年4月17日
九州地区

熊本大学 工学部

公式キャラクター いそっぷ公式キャラクター いそっぷ

 地球規模の環境問題がさけばれて久しいですが、過去の化学技術教育の欠陥を教訓として、熊本大学工学部(旧)物質生命化学科では学部の教育に環境との調和と共生を実現するための化学教育を取り入れる必要性を認識し、全国に先駆けて2001年度から「環境ISO」に関する講義科目を導入しました。その後、ISO14001(JIS Q 14001)をもとに環境マネジメントシステムを構築し、審査機関の認証を取得しました。2018年度の工学部改組に伴い「材料・応用化学科」へ改称されましたが、(旧)物質生命化学科で取り組んできた環境ISOの教育活動は、材料・応用化学科の応用生命化学教育プログラム及び応用物質化学教育プログラムに引き継がれています。ここでは、その教育と活動について紹介します。

学部教育における取り組み

 本学科の環境ISOは、両教育プログラムのカリキュラムに組み込まれて実施される講義や化学実験に係る教育活動です。最大の特徴は、ISO14001環境マネジメントシステムに基づいて実際に講義や化学実験を受講する「学生」が活動担当者である教職員に対して「内部監査」を実施する、環境ISO活動の確認や改善提案を行う独自の人材育成システムです。学生監査員は、各化学実験の実施方針や書類の管理、実施状況や環境等をチェックし、改善点等を教員に対してフィードバックします。指摘が上がった点に対して教職員は環境ISO委員会を開催し、修正すべき点を改めていきます。学生と教職員が一丸となって、環境に配慮した研究及び生産活動を実践することができる化学者の育成を目的として活動に取り組んでいます。

写真1:内部監査の様子写真1:内部監査の様子

 環境との調和と共生を自覚できる化学教育システムの一環として、化学実験では、使用する試薬の性質や法規制情報等の事前理解、実験時の薬品使用量や廃液量調査を行ない、実験技術と合わせて試薬の適正な取扱方法を学びます。さらに、危険物取扱者の免許取得を広く推奨しており、より適正な試薬の取扱方法の習得を推進しています。試薬の管理も徹底して行なっています。全学の試薬管理システムの導入前、本学科では学内に先駆けて学科独自の試薬管理システムを構築して薬品管理を行い先導的な役割を担ってきました。劇毒物管理はもとより消防法をはじめとする法令遵守にも重要な役割を果たしながら、きちんと薬品管理ができる人材育成に繋げています。

地域社会への啓蒙活動の取り組み

 公開講座、高校への出前講義、夢科学探検などの学外への教育活動を通じ、地域社会の環境意識の向上にも率先して取り組んでいます。例えば、熊本大学では毎年夏に高校生向けのオープンキャンパス、秋に小学生を対象とした「夢科学探検」といった地域住民とふれあうイベントを実施しています。これらのイベントでは、内部監査員の学生が情報発信や展示を行なっています。「ISO14001環境マネジメントシステム」活動の紹介や環境に関するクイズを行い高校生や小学生の興味・関心を引き出し、私たちを取り巻く環境とその状況を自然と理解できるように工夫しています。

写真2:夢科学探検でのクイズに答える子供たち写真2:夢科学探検でのクイズに答える子供たち

 このように、「環境ISO」の教育を通じて、化学薬品の正しい理解、環境負荷低減へ高い意識を持つ人材育成と地域への発信に取り組んでいます。

 詳細は、以下のサイトに掲載しております。ご興味をお持ちの方はどうぞご覧ください。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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