2023年10月13日
私は金沢大学の理工学域機械工学類で教員を務めています。
私達の学類では、機械工学の基礎学問である4力(材料力学、機械力学、熱力学、流体力学)はもちろんのこと、金属材料、航空宇宙、情報科学等々の非常に幅広い内容を学ぶことができます。所属している教員の専門分野も多岐にわたり、研究内容も多種多様です。これらの関連する分野が広範囲であるところが機械工学の特徴であり、魅力でもあります。
私は機構運動学、設計製図、材料力学に関する学生実験などの授業を担当しています。機構運動学では機械を構成する仕組みとその運動について、設計製図では仕組みやその要素の設計方法とそれらを図面に表す方法について、材料力学では物体に生じる力と変形との関係について学びます。これらは、ものづくりにおいて、また、機械系エンジニアとして基礎となる知識なので、幅広い分野で発揮できる能力になります。もちろん、私の研究でもこれらの知識は重要な役割を担っています。
では、私が子供の頃から機械工学系の専門家を目指していたかというと、高校生の頃でさえはっきりとした進学したい大学や憧れの職業などはありませんでした。「専門家って格好いいな」と漠然とした憧れがあった程度です。それが、受験する大学を探しているときに見かけた「感性を数値化する」や「感性に合ったものづくり」に興味を惹かれたことをきっかけに、感性工学に関する研究をするようになり、チャンスもあって現職に就くことになりました。金沢大学の機械工学類での採用を目指したのも、布の手触り感の評価装置について研究されていたからです。感覚・感性を定量的に評価するだけでなく、装置にするところに興味を惹かれました。今は、スライドファスナのしゅう動感(ひき心地)の設計方法や、検査員(人)による目視検査の自動化などに取り組んでいて、充実した時間を過ごしています。
ぼんやりと「専門家って格好いいな」と思っていただけの私が、興味を惹かれたことをきっかけに、感性工学の専門家になりつつあります。“興味がある”が人を動かす力ってとても強力だと実感しています。女子中学生や女子高校生の皆さん、ぜひ“興味がある”ことを見つけてください。それはきっと素敵な未来へ突き進む原動力になると思います。
将来目指している(目指していた)職業は何ですか? | 人の心も満たすものづくりの専門家。 |
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工学部への進学を決めたのはいつごろ? | 高校3年生。受験する大学を考え始めた頃。 |
工学系への進学理由は? | 日常生活に関わりのあるもの、具体的なイメージをもてるものに関係した分野は取り組みやすそうだから。 |
大学を選ぶ決め手になったものは何ですか? | 「布の手触り感の評価装置を開発する」という研究テーマに興味を惹かれたから。 |
大学では何に力を入れて勉強(研究)していますか? | 感性工学。「感性を数値化する」や「感性に合ったものづくり」に関する研究。 |
入学前と、入学後、工学部のイメージの違いは? | 機械工学に関連する学問の幅広さに驚いた。 |
文系の友達・知人と違うな~と思うところは? | 主張の再現性や普遍性、実証にこだわるところ。 |
本音で言うと、文系タイプ?理系タイプ? | 理系タイプ |
ニガテ科目克服法や勉強のコツは? | 自分にとってわかりやすい参考書を見つけ、繰返し読む。実例に当てはめてみる。 |
今一番興味があることは? | (物理的な刺激に対して)人がどのような印象を抱いているのかを客観的に知る方法。 |
工学部に来てよかった事は? | 物理学、特に力学がわかるようになったこと。力学がわかるようになったら、ものづくりに関するいろいろな研究に興味が湧いてきたこと。わかることが増えてきたので、面白いと思うことも増えたこと。 |
掲載大学 学部 |
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私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |