2020年8月21日
私が一番伝えたいことは、大学・学部選択が、自分の将来へ向けた最終的な選択ではないということです。私がなぜそう思ったのかを書きたいと思います。
前提として、大学を選択する時点で、大学で学ぶ自身の様子を100%想像するのは難しいです。情報はホームページや大学案内で得られるものに限られますし、オープンキャンパスは大学という場所を知ることはできますが、全ての授業や課題などの全貌を把握することはできません。なので、予想と違った、ということがほとんどでしょう。私自身が一番ギャップを感じたことは、授業で取り扱う分野・科目がかなり幅広かったことです。大学はかなり専門的、限定的なことをするのだろう、と思ったら大違い。高校で「理科」が物理・化学・生物に分かれたように、「化学」でさえもより高度に細分化されました。「物理寄りの化学」「生物寄りの化学」というような科目もあり、高校の時に学んでいた内容は極一部であったことを思い知らされました。
工学部に進学後、院に行くか、就職するかという選択があります。大学での勉強を経て「やはり自分は研究職には就かない」と決めた友人は多く、その中の大半はいわゆる「文系就職」をしました。文系就職をして、工学部で学んだことが無駄にはなりません。大学での勉強は実際、学ぶことが多くハードですが価値があります。「そんな知識、使うことあるの」と感じる人もいるかもしれませんが、「そういう考え方があることを知っている」のと、全く知らないのとでは大きく違うのです。
院に進学を決めたら、次は研究室選択です。学部で学んだ内容を考慮して、自分がもっとより深く学びたい方向性を決めて選択します。この段階でも選択時と実際研究を始めてからのギャップはあり、専門性は格段に上がります。実は院に行っても、その研究内容が就職後の内容に直結することはほとんどありません。得られるのは取り組み方であり、考え方であり、経験で、これらの価値は実際に経験しないと実感はわかないでしょう。
そして就職ですが、先述した通り、学部や研究内容が直結するわけではありません。事前に選択した専門に寄るところはありますが、それは選択肢を広げているからできることで、ほかの選択を消しているわけではありません。院に進学して文系就職をする人もいるし、製薬メーカーに就職する人もいます。最近はこの就職でさえ、転職もしやすいようで、最終選択とはならないようですね。
このように、今あなたが悩んでいることは、あなたの人生を縛るものではありません。この先さまざまな選択がある中のひとつです。「工学部へ進学=研究者」と硬く考えず、自身の知見を広げることに少しでも興味があるなら、挑戦してみてはどうでしょうか。あなたにとって後悔のない、価値ある大学生活になりますように。
最後に、現在私は大学で、高分子の構造と物性の関係性について勉強、研究しています。具体的にどのようなことをしているのかイメージが付かなくても、不安に思わないでください。私も大学3年生までそうでした。化学系へ進学しようと思ったのは、小学校の理科の授業で、アルカリと酸を混ぜて、指示薬の色の変化を見ながら中性を作るという実験が楽しかったから。今思えば些細なきっかけですが、自分が「楽しい」と少しでも感じることはどんな時でも、いつもどこかで見つかるのです。私はそれに素直に従うことにしています。
将来目指している(目指していた)職業は何ですか? | 一般消費者向けの化学製品を扱う企業で製品開発をしたいと考えてる。 |
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工学部への進学を決めたのはいつごろ? | 高校2年生の文理選択のタイミングで。 |
工学系への進学理由は? | 実験がしたかったから。 |
大学を選ぶ決め手になったものは何ですか? | 自分が学びたいことが学べる国公立大学で、自分が挑戦できる一番レベルの高い大学だったから。 |
大学では何に力を入れて勉強(研究)していますか? | 高分子の構造と物性の関係について。 |
入学前と、入学後、工学部のイメージの違いは? | 授業内容が思っていたより広範囲で悪戦苦闘した。 |
女子が少なくて困ったことは? | 困るほど少なくなかった。むしろ少なめだからこそ仲良くなれた。 |
男子が多くて良かったこと、困ったことは? | 力仕事はすごく頼りになる。周期的な体調不良を共感できる人が近くにいないと困るときもある。 |
理工系で就職は有利だと思いますか? | 思う。他人とは一味違う自分の強みがはっきり言えるようになるから。 |
文系の友達・知人と違うな~と思うところは? | 授業も課題も多いから絶対理系の方が苦労してる。大学行く価値があると思う。 |
ニガテ科目克服法や勉強のコツは? | 暗記科目は何度もできるまで繰り返すこと。つまり根性。理系科目は丸暗記せずに理解すること。 |
クラブ・サークル活動などをしていますか? | ソフトテニスサークル |
今一番興味があることは? | 実際に就職したら今学んでいることがどう活かせるのか知りたいから、インターンに参加したい。 |
工学部に来て大変なことは? | とにかく時間がないこと。課題もあるし、自分の研究もあるし、勉強したいこともあるし、趣味にも時間を使いたいし。 |
工学部に来てよかった事は? | 学べることが無限にあること。高校の時の勉強、ちょっと違うやんって思うことも多い。 |
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私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |