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電気で微生物細胞の生死を見分ける検査法

2023年10月27日
富山大学 生命工学コース 細胞電気工学研究室

 真菌感染症などの診断や治療、また発酵食品の品質管理において微生物検査が行われています。ただし、一般的な検査法には、1~3日程度培養し目に見えるまで増殖させて判断する方法や、細胞を特殊な薬品で染色し顕微鏡観察する方法があります。

 私たちの研究室では、医療、食品などで用いる微生物検査の新技術として、微生物細胞に交流電圧を印加するだけで迅速簡便に細胞の生死を判別できる新しい原理の検査法の開発に取り組んでいます。具体的には、図1に示すように微生物の入ったサンプル溶液を透明電極板で挟み込み、そこに特定の高周波交流電圧を印加し顕微鏡観察することで個々の細胞の生死判別を行います。このとき非球形の微生物は電界配向という交流動電現象によって、生きている細胞は電界(電場)方向と同じ向きに配向し直立します。このとき透明電極では真上から観察できるので真円として見えます。一方、死んでいる細胞は横たわったままなので細長く見えます。これらは細胞の生死によって細胞内の電気的性質が変化することを利用したものです。写真1に示すように実際蛍光染色した細胞で観察すると、緑蛍光の生細胞は直立し真円に見え、赤蛍光の死細胞は転倒し長く見えることが確認できます。

 このように非常に簡単な装置で薬品を使うことなく数秒程度の短時間で生死判別することができます。将来、この迅速簡便な検査法を用いることで、医療分野や食品分野に役立つことを期待して研究を進めています。

図1.微生物の電界配向状態とそのときの顕微鏡観察写真
写真1.染色細胞での確認(緑蛍光:生細胞,赤蛍光:死細胞)
※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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