大学って何するところでしょう?いちばん真っ当な当たり前の答えは「大学は学問をするところ」っていうことになりますが、実際、一生に亘って学問を生業にする「研究者」になる人は全体の僅か2%にも届きません。じゃあ、大学なんて行ったって無駄じゃん!てことになりますが、実はこの「無駄」がホントは大事なのだと思っています。
ここで僕自身のことをちょっと。
お恥ずかしい話・・・、僕は学部で3回留年してそのあと修士課程まで行ったので、都合9年間「大学生」をやりました。まあ、いちばんの原因は、当時(80年代前半バブル前夜)のイケイケムードに感化されて「受験が終わったらあとは遊ぶだけ!」みたいなノリで大学に入ったことに尽きると思います。なので、只々「モテたい」がために始めたJAZZ研でのバンド活動に没頭し、プロになれるわけでもないのに即興演奏のスキルを上げるために授業をサボって練習して、ライブで「ゾーンに入った」「来た~!」っていう感覚に溺れる毎日を送っていました。気が付いたら同級生は皆、超売り手市場の波に乗って一流企業に就職してしまったあとでした。今にして思えば、これは人生最大の無駄な時間だったような気がしなくもありません。
それでも(紆余曲折いろいろあったけど)やっとたどり着いた卒業研究で今の研究テーマに出会い「ん?おもしろいじゃん!」とドはまりして大学院に進んだあと「運よく?」助手(今でいう助教)になることができて現在に至るわけですが。。。
今の僕の研究は柔らかい構造物が大きく変形したときの挙動を計算する方法をひたすら考えるというもので、それが何か製品に直接結び付いてお金儲けの種になるというタイプのものではありません。しかし、ひとたびウマいやり方を思いついた時には、これもゾーンに入って、四六時中ず~っとそのことを考えてひたすら何かをノートに書いている状態が続いたりします。でも、それが本当に成果に結びつくことはやはり稀で、ほとんどの場合まさに無駄なのですが、それ(ゾーンに入ること)ができるところが「大学」なのです。
最近では「コスパ」「タイパ」という新しい言葉と共に、極力無駄を省いて「役に立つこと」のみを追求する風潮が強まっています。でもやっぱり、大学は「モラトリアム」という古い言葉を言い訳に、役に立たない無駄なことに熱中できる場所でありつづけたいものです。
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