磁気浮上というと超伝導体を用いたものが有名かもしれません。しかし、超伝導体は、低温に冷却する必要があり、気軽に観察することが難しいです。そこで、超伝導体のような派手さはありませんが、冷やすことなく室温で磁気浮上が観察できる方法として、グラファイトの磁気浮上を紹介したいと思います。
準備するものは、ネオジム磁石とグラファイトシートの2点だけです。
ネオジム磁石は非常に強い永久磁石です。グラファイトシートは、できるだけ薄いもので、高配向性のものを用います。
この実験では、以下のようなものを用います。
つなげたネオジム磁石(図1)の上にグラファイトシート(図2)を近づけると浮上することがわかります(図3)。
(つなげたネオジム磁石の中心付近にグラファイトシートを近づけるのがコツです。ネオジム磁石の面によって浮上が起こる面とそうではない面が生じることがあります。準備したネオジム磁石の磁力線の出ている向きなどに影響します。)
極めてシンプルな実験ですが、物体の浮上が気軽に観察できます。磁石の数を変えたり、グラファイトシートに穴を開けたりすると浮上の仕方や安定性が変化します。
炭素が六角形状に配列したグラファイトの面に磁石を近づけた際に生じる反磁性(外部から印加される磁場に対して逆向きに磁化する現象)という性質によって反発力が生じて浮上が起こります(図4)。この力は弱いため、できるだけ軽くて六角形状のグラファイト面が広く存在するシート状の高配向したグラファイトを用いて実験を行っています。
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