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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

磁石を使って一番かんたんなモーターを作ってみよう!

2018年8月24日
長岡技術科学大学 工学部

はじめに

 今の世の中は移動手段として車や電車、エレベーターなどがあります。また家の中には洗濯機や掃除機などの家電製品もたくさんあり、私たちの生活を大変便利にしてくれています。これを可能にしているのがモーターです。また、ほとんどのモーターには永久磁石が欠かせません。そこで最強の永久磁石であるネオジム磁石を使って、かんたんなモーターを作ってみましょう。

準備するもの

  • 銅線(直径0.9mm)
  • ネオジム磁石(直径13mm) 4個
  • スティックのり(銅線を巻く心棒として使用)
  • 単三アルカリ乾電池
  • ビニルテープ
  • ラジオペンチ
  • カッターナイフ

※針金など磁石にくっつく金属は使えません
※銅線、ネオジム磁石は百円ショップより入手可能
※ネオジム磁石は磁力が強力なので取り扱いに注意する
※発熱や破裂の危険から、必ずアルカリ乾電池を使う

作り方

  1. トウモロコシの芯を切る

    スティックのりのケースに、銅線を5回くらい巻いてコイル状にします。

  2. 一方の先をラジオペンチを使い、折り曲げて軸を作ります。

  3. プラス側に貼る軸止めを作ります。座金を使う方法もありますが、ここでは身近にあるビニルテープを使います。ビニルテープを4、5枚重ねカッターで1.5mm×3mmくらいの四角の穴をあけます。

    (小さな穴の方がよい)
  4. 穴をあけたビニルテープ(5mm×6mmくらい)を乾電池のプラス側に貼ります。(銅線の軸が回転しても外れないようにするためです)

  5. ネオジム磁石4個を重ね乾電池のマイナス側にくっつけます。
    ※ネオジム磁石の数は1~3個でも回転します。数を変えたら回転がどのように変わるか観察してみてください。

  6. 完成品の写真のようにコイル状の銅線を乾電池にかぶせ、銅線のマイナス側の径を小さくし、磁石に少し接触させると回転します。うまく回転しない時は、磁石と銅線の接触具合いをいろいろ変えて調整してみてください。うまく回転させるには根気が必要です。

完成品

このような形でも回ります。

※回していると銅線が発熱するため、長時間回さないようにしましょう。

解説

 モーターはここで使ったように永久磁石(ネオジム磁石)と、電磁石(銅線に電気を流した時に磁力が生じる ※【銅線の磁力実験】参照)により引きつけ合ったり、反発し合ったりする力で動いています。また、モーターの原理については、いろいろな本やホームページでやさしく解説されていますので、そちらを参考にしてください。
 本工作では、ネオジム磁石を使用しましたが、フェライト磁石にアルミホイルを巻いたものでも同様のモーターが作れます。

銅線の磁力実験

 最初は方位磁石の針は横向きですが、銅線に電気を流すと縦方向に動き、電流により磁力が生じたことが確認できます。

 モーターを作るのに必要な乾電池や磁石の発明、開発には日本の研究者が大きく関わっています。乾電池の発明は新潟県長岡市出身の「屋井先蔵」であり、その後この実験で使用するアルカリ乾電池が開発されています。また、永久磁石の発明は1917年に「本多光太郎」がKS鋼磁石、1930年には「加藤与五郎」「武井武」がコバルトフェライト磁石、1931年には「三島徳七」がMK鋼を発明しました。さらに、1982年に「佐川眞人」により発明されたネオジム磁石があります。これらの磁石によりパソコンや携帯電話の小型モーターから、大きいところでは電車、ハイブリッドカー、発電所の発電機にまで用いられて今の便利な生活が維持されているのです。
 今回のモーター作りをきっかけに、乾電池や磁石の歴史を調べてみるのもおもしろいかと思います。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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