橋は、道路や鉄道などが川を渡る場所や、高速道路の高架橋 [こうかきょう] で見られ、私たちの身の回りにあって、生活に欠かせない構造物です。今回は、橋の構造が分かる紙模型を紹介します。橋は多くの部材で構成されています。模型を製作していく途中で、少し力をかけたり、曲げたりすることで、それぞれの部材がどのように役に立っているかも説明します。橋の紙模型の製作を通して、橋の構造に詳しくなりましょう。橋に興味がある人は、このページの一番下の8番の項目のメッセージを見てください。
今回の紙模型では、最も基本的な形状の橋桁 [はしげた] を作成します。
※完成予想図はCG画像です。A3の型紙の寸法でCG画像を作成していますので、A4の型紙を用いると縦横の寸法が少し違いますがほぼ同じ形状に仕上がります。CG画像は分かりやすいように部材ごとに着色していますが、実際には白い紙など1色の紙で模型を製作します。
紙模型は、紙の材料、紙の大きさ、接着の方法で製作の難しさを調整できます。紙の工作に自信のある人は、難しい条件を組み合わせて紙模型を製作してみましょう。
やさしい |
難しい |
|
紙の材料 |
ボール紙,ケント紙,または画用紙 |
コピー用紙 |
紙の大きさ |
A3用紙サイズ |
A4用紙サイズ |
接着の方法 |
セロハンテープ |
木工用ボンド |
型紙は下のリンクをクリックして表示してください。
※型紙は、材料の紙に書き写すか、用紙に印刷してご利用ください。PDFファイルを印刷する場合は、用紙サイズに「合わせる」ではなく、「実際のサイズ」で印刷すると原寸大で印刷できます。
模型の製作作業で、はさみやカッターナイフを使用します。けがをしなうよう、注意して作業しましょう。
カッターナイフを使用するときは、カッターマットなどを使用して机を傷つけないようにしましょう。
主桁部分を作成します。
型紙の赤枠部分の主桁ウェブ、主桁フランジ、垂直補剛材を切り離します。
ボンドで接着する場合は、下の図の左のように点線状に付けても、右のように連続状に付けてもどちらでも構いません。セロハンテープで接着する場合も同じで、部分的に付けても、連続的に付けても構いません。
フランジの中央にウェブを貼り付けます。ボンドの場合はフランジ側にボンドを付けて、直角にウェブを取り付けます。
ウェブの上下両側にフランジを取り付けます。もう1つのウェブにも上下にフランジを付けておきます。ボンドが固まっていなくても、接着したところを壊さないように気を付けながら次の工程へ進みます。
次に垂直補剛材を取り付けます。先ほどの主桁(ウェブの上下にフランジを2枚取り付けたもの)の片面に、一点鎖線に沿って垂直補剛材を7個、その裏面の両端に2個取り付けます。もう一方の主桁も同じように垂直補剛材を取り付けます。
この後、対傾構 [たいけいこう] の上弦材 [じょうげんざい] 、下弦材 [かげんざい] を取り付けます。当たり前ですが、上弦材、下弦材を取り付ける前の主桁は、少し押しただけで簡単に倒れますが、上弦材、下弦材を取り付けた後の主桁は倒れなくなります。
対傾構の上弦材と下弦材を取り付けます。
型紙の赤枠部分のガセット・小と上・下弦材を切り離します。
主桁の垂直補剛材が7個付いた側の垂直補剛材の上端と下端にガセット・小を取り付けます。つける場所は図を参照してください。両端の垂直補剛材と、中間は1つ飛ばしで付けます。2つの主桁とも取り付けます。
次に、上弦材と下弦材を取り付けます。切り離した部材を山折りの線に沿って90度に折り曲げておきます。ガセット・小を付けた側を内側にして、主桁を並べます。図のようにガセットに上弦材と下弦材を取り付けます。このとき、90度に折り曲げた面は、フランジに近い方に配置します。(上弦材は上側、下弦材は下側)
この後、対傾構 [たいけいこう] の斜材を取り付けます。斜材を付けることで横からの力に強くなります。
斜材を取り付ける前の状態で、壊れない程度に上フランジは右へ、下フランジは左へ少し力を掛けて、主桁と上弦材、下弦材で囲まれる長方形を平行四辺形に変形してみましょう。この時の力の大きさを覚えておいてください。斜材を取り付けた後で、平行四辺形に変形しようと力を掛けてみると、強くなっていることが分かります。
対傾構の斜材を取り付けます。
型紙の赤枠部分の斜材とガセット・大を切り離します。
ガセット・大を両端の対傾構は上弦材の中央に、中間の対傾構は下弦材の中央に貼り付けます。両端と中間で異なる理由は、この後、斜材を取り付けますが、両端は「ハ」の字に、中間は「V」の字にように斜材を配置するためです。
斜材を切り離した後、90度に折り曲げておきます。ガセット・大と、ガセット・小をつなぐように斜材を取り付けます。
この後、横構 [よここう] を取り付けます。横構を取り付けることでねじれに強くなります。
横構を取り付ける前の状態で、両端を持って、壊れない程度に少しねじってみましょう。それほど力をかけなくてもねじれるはずです。この時のねじる力の大きさを覚えておいてください。横構を取り付けた後で、ねじると強くなっていることが分かります。
横構を取り付けます。
型紙の赤枠部分の横構を切り離します。
横構を切り離して、90度に折り曲げておきます。横構は上からみてジグザグに配置します。「横構」という名前ですが、斜めに配置して間違いではありません。横構は上下フランジに貼り付けます。
これで橋の模型は完成です。最初の完成予想図と同じ形になったはずです。A4用紙で作った場合は少し縦横の比率が違いますがほぼ同じになります。各部材の役割も分かったでしょうか。紙模型では一部の部材を省略していますが、実物の橋はもっと多くの部材が取り付いています。橋に興味がわいたら、詳しい構造を調べたり、他の形の橋も調べたりしてみましょう。
この橋の紙模型の教材は、石川工業高等専門学校元教員の三ツ木幸子先生のアイデアをもとにしたものです。ここに記載して感謝申し上げます。
橋に興味がある人、将来、橋の設計、製作、建設などの仕事をしてみたい人は、橋の詳しい勉強をしましょう。大学の中でも、工学部の土木系の学科で橋の詳しい勉強ができます。学部や学科の名前は大学によって異なることもあります。ホームページなどで、どこの大学で学べるか探してみましょう。
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